絵を描くことが好きな学生が、ボランティアとして関わることができる良い機会。

はじめに

「保護猫・保護犬を救う。チャリティ絵画 ネコの描き手ボランティア」について

動物愛護団体と寄付者と絵画ボランティア

犬猫の殺処分を減らすため、岩手県の大学生ボランティアと共に立ち上げた企画が「保護猫・保護犬を救う。チャリティ絵画 ネコの描き手ボランティア」です。寄付のお礼に、学生ボランティアが描いたお客様の愛猫の絵をお送りするというもので、いただいた金額はすべて動物愛護団体「動物いのちの会いわて」に寄付しています。
(詳細:【保護猫・保護犬を救う】チャリティー絵画 ネコの描き手ボランティア)

今回は岩手県立大学教員の高瀬さんにお話を聞いていきます。

お話してくれた人…岩手県立大学 高瀬和実 准教授
岩手県立大学 高等教育推進センター/学生支援本部にて描き手ボランティアの大学生の活動をサポート。
聞き手…太野由佳子
(株)クロス・クローバー・ジャパン代表取締役。猫社員ぽんちゃん、ちゃっくんは「動物いのちの会いわて」出身。2022年にあんこ、きなこが新しく仲間入り。この子たちも同会からお迎えしました。

プロジェクトについて思うこと

思いがけないアイディアに「すごい」!

太野 本日は岩手県立大学にお邪魔しております。
高瀬先生のお話を伺います。自己紹介をお願いします。

高瀬さん 岩手県立大学で教員をしております、高瀬です。よろしくお願いします。

太野 よろしくお願いします。
早速ですが、県立大学の学生さんにボランティア協力をいただいているチャリティ絵画プロジェクトについてお話を伺います。このプロジェクトは高瀬先生の協力なくして実現しなかったものなんですが、最初にこのプロジェクトのお話をさせていただいたとき、どのような印象を持たれましたか。

高瀬さん そうですね、まず「すごいこと考えたな!」と思いました。詳細を伺うまではボランティアと言っても、そういう仕組みのボランティアになるとは思っていなかったので、思いがけないアイディアでした。だから、「すごい!」と。

太野 ありがとうございます。当初、かなり内容がふわふわした状態でお話をしてしまったので、そう言っていただけると嬉しいです。高瀬先生にそう言っていただけたので、もしかしていけるのかなって自信にもなりました。ただ、やりたいなと思っても実際に描いてくれる方がいないと形にすることができませんから。その辺り、描き手ボランティアの募集の面でも色々サポートいただきました。その節は本当にありがとうございました。

高瀬さん いえいえ。普段学生と接してて、イラストや絵が好きで得意な人、いそうだなっていう感覚があったんです。ただ好きと言っても、家にこもって自分1人で描いて、というタイプ の人が多いんじゃないかと思いまして。それがボランティアになると、普段機会がないと思いますから貴重な体験にもなりますし、更に動物のためになるということで、とてもいいと思いました。

プロジェクトを通しての学生との交流

嬉しい想定外!学生も「やるもんだな」。

太野 なるほど、確かにそういう視点もありますね。具体的な募集方法でいうと、県立大学には、ボランティアセンターというのがあるんですよね?

高瀬さん そうですね。学生向けに、こういうボランティアができるのでやりませんかって声をかけてくれるんです。そこから声をかけてみて、実際どのぐらい手が上がってくるかわかりませんでしたが、手応えはあるんじゃないかなっていうのは思いました。

太野 私は当初、そのボランティアセンターという存在を知らなかったんですけど、とてもいい仕組みですよね。

高瀬さん そうですね。有意義だと思います。

太野 それで、40名という多くの方にご参加いただきまして、ちょっとびっくりしております。当初は7名くらい集まればいいなと、そのくらいの見込みだったんですよね。また、参加してくださった学生さんの中には、単純に絵が好きという方もあれば、動物愛護に関心があるという方、様々だと思います。ただこれだけの学生さんが、自分の貴重な時間を使って行動したいと思ってくださったことが、本当に嬉しくて、励みになりました。
実際に描いてくださった絵も、動物に対する愛情がとても溢れていますし、絵と一緒に飼い主さん宛てにメッセージなんかも添えられていたりして。ぐっとくるものがありますね。

高瀬さん そうですよね。私も、40名という数字は実はすごく意外でした。そんなに手が上がるんだっていうのに驚きましたね。当大学にはイラストサークルというのがあるんですが、オープンキャンパスや学園祭のような場で展示をしているんですよね。それを見ると、流行りのゲームやアニメのキャラクターのイラストが多いんです。なので、今回のプロジェクトで求められる動物の絵とはまた違うので、ちゃんと描けるのかなというちょっとした不安もあったんです。でも、さっき太野さんがおっしゃったように、思った以上に丁寧に、それぞれの個性を生かして描いてくれて、いや学生もやるもんだなと感心しました。

せっかくの才能を活かしてほしい。


太野 せっかくの上手な絵を、誰にも見せることなくしまっていたかと思うともったいないですよね。

高瀬さん そうですね。今まで披露する機会があった学生もない学生もあったと思いますが、人に見ていただいて感じてもらえる機会が持てたことは本人たちにとっても良かったんじゃないですかね。

太野 高瀬先生は、ボランティアの方が描いてくれた絵の受け取りとか、仲介的な役割としてもお手伝いいただいてるんですが、その際学生さんとどのようなやりとりをされているんですか。

高瀬さん 受け取りの際のほんの短時間の立ち話し程度なんですが、持ってきた学生のぱっと見た印象と全く違うタッチの絵だったりするので驚くことも多いです。「これ本当に君が描いたものなの!?」とか、 そりゃそうに決まっているんですけどね(笑)あとは、どうしてこんなに描けるようになったの。とか、普段人に見てもらう機会があるの。とか、そんな話をしますね。
普段、やり取りがない学生と絵を通じてコミュニケーションを取ることで、これまで知らなかった個性とかを垣間見て、私としても発見が多いです。

今後の関わり方は…

学生が入れ替わっても、取り組みを継続していきたい。

太野 このボランティアを通して、今後こうしていきたいなとか、学生さんに対して思うことはありますか。

高瀬さん そうですね。せっかくこういうボランティアをご提案いただいて、今現在うまく運営できているので、ぜひ継続していきたいというのが一番ですね。学生は入学しては卒業してどんどん入れ替わっていきますし、ボランティアセンターのメンバーも当然入れ替わっていく中で、仕組みとしてきちんと残して回していくというのが大事だと思います。
あとは、絵を描いて提出するっていうところ以上の、もう少し学生との交流とか、太野さんとの交流とか、そういったところも自然に広がっていくと嬉しいですね。

太野 そうですね。私といたしましても未来を担う若い方たちと今後も継続して、さらには輪を広げていけたら幸いです。今度ともどうぞよろしくお願いいたします。
それでは本日はありがとうございました。

高瀬さん こちらこそありがとうございました。

おわりに

「知る」こと、「繋がる」こと。

当プロジェクトと、学生ボランティアとを繋いでくれた高瀬さん。その高瀬さんとしても、学生の意外な一面を知る、良い機会になったとのことです。「知る」には「繋がる」ことが、「繋がる」には「知ること」が大切です。高瀬さんが繋いでくれた当プロジェクトと学生のように、学生と学生が、学生とさらにその周りの人たちが繋がり、ひいては動物愛護を知るきっかけになっていただければ幸いです。