すぐに壊れる猫用品に疑問を抱き、SDGs視点で考える長く使える商品を追求する理由

「ネコ目線のモノづくり」でネコを幸せに!nekozukiプロダクトデザイナーの太野(ふとの)です。

3月17日は「みんなで考えるSDGsの日」。SDGs視点で猫用品について考えてみました。

富士経済ペットマーケティング総覧によると、ペット用品市場は2020年の約4,680億円から2023年には約4,900億円へと拡大を続け、ペット用品は専門店以外でもAmazonをはじめとしたオンラインサイト、ホームセンター、100円ショップなど、さまざまな場所で手に入れることができます。選択肢が増えた一方、耐久性が低く使い捨て前提で作られた商品も多く流通しており、廃棄される猫用品も多くあることが容易に想像できます。

爪とぎを例にとると、ネコさんの爪とぎで消耗していくパーツの交換ができない商品だと、本体を丸ごと廃棄することになります。いつも「もったいないなぁ」と思いながらみています。さらに、うちの猫たちは段ボールをみかけると噛みちぎります…段ボール製の爪研ぎはことごとくボロボロに。

猫社員ひいらぎちゃん、あんこちゃんにかじられた段ボール
猫社員ひいらぎちゃん、あんこちゃんにかじられた段ボール

もし、使い捨てではなく「長く使える猫用品を選ぶことで地球環境へも貢献でもし、使い捨てではなく、長く使える猫用品を選ぶことが、地球環境への貢献にもつながるとしたらどうでしょう?きるとしたら?」

選択肢の1つとしてこの記事を読んでいただけたら嬉しいです。

ペット用品の年間廃棄量

ペット用品の年間廃棄量に関するデータは、現時点では明確に公開されていません。しかし、衣類の廃棄量を見てもわかるように、日用品の廃棄が環境へ与える影響は非常に大きいと考えられます。
(※どなたかご存知の方おりましたらぜひこちらまでご連絡ください。)

ファストファッション1を例に、年間廃棄量と地球への影響について考えてみました。

世界全体:毎年9200万トンの衣類が廃棄されており、その多くが埋立地や焼却処分されている。

(出典: UNEP, Ellen MacArthur Foundation)

日本:年間約100万トンの衣類が廃棄され、そのうち約85%が焼却または埋め立てされている。

(出典: 環境省)

衣類の生産には膨大な水が必要です。

例えば、ジーンズ1枚を作るには約7,500リットルもの水が必要とされています(出典: Water Footprint Network)。これは、一般的な家庭の浴槽(約150リットル)なら約50杯分、500mlのペットボトルにすると1万5千本分にも相当します。

世界で生産される衣類のうちわずか1%の92万トンしかリサイクルされておらず、毎年9200万トンが廃棄処分されています。(出典: Ellen MacArthur Foundation)9200万トンをジャンボジェット機(1機約400トン)で例えると、23万機分にもなります。

日本ではリサイクル率は約14%、14万トンです。(出典: 環境省)

作る側の姿勢も問われているのではないかと、地球に暮らす一人の人間として感じています。

ペット用品でも同じようなことが起きているのではないでしょうか?

nekozukiのモノづくりとサステナビリティ

nekozukiはブランドを立ち上げた2010年から一貫して、「長く使える商品づくり」に取り組んでいます。警戒心の強いネコさんに、頻繁に新しい用品を与えることは大きなストレスになってしまいます。そのため、長く愛用できる耐久性の高い製品を作ることが、ネコさんにとっても、飼い主さんにとっても、そして環境にとっても良い選択だと考えました。

私たちは最初からSDGsを意識して商品を作っていたわけではありません。ただ「ネコ目線のものづくり」を追求し、ネコさんにとって快適で安全な製品を目指した結果、自然とサステナブルな商品ができあがっていました。

SDGs視点で作られたnekozuki商品の例

わたしたちは自社で工場を持っていないため、商品の求める機能にあわせて本社オフィスのある岩手をはじめ、日本各地の職人さんと連携し、地域資源を活用したモノづくりを行っています。その結果、廃棄物の削減や地場産業の活性化にも関わることができました。

ここからは実際にnekozukiが作った商品をSDGsの目標にあわせて分類しました。

地域資源の活用(SDGs目標12「つくる責任、つかう責任」)

竹刀の再利用で生まれた猫用おもちゃ「たのしんぼう」

廃材を活用。安全・環境に優しいサステナブルな猫じゃらし

岩手県の職人が連携し、廃材を活用して安全・環境に優しい猫じゃらしを開発しました。猫を愛する心と、剣道に関わってきた花巻市の木工職人の竹刀への想いから誕生した製品です。

剣道場で廃棄される竹刀を再利用した猫のおもちゃ

剣道場で廃棄される竹刀を猫じゃらしの竿部分として再利用しました。竹特有のしなりが生み出す動きは、ネコさんにとって魅力的な刺激になります。持ち手部分には木製品加工の際に出る端材を集成材として活用しています。

また「たのしんぼう」は、安全カバーをつけたまま遊べるおもちゃです。布カバーには余剰生地を使い、自社製品の製作過程で発生する残反を「獲物」として再利用するなど、環境にも配慮しました。紐や獲物は交換可能なので、繰り返し長く楽しめる猫じゃらしです。

たのしんぼう+

交換可能パーツで「楽しさ」、専用カバーで「安全性」をプラス。
ネコさんのための長持ち設計、壊れにくい猫じゃらし詳細はこちら

研ぎ部を交換することで世代を超えて使える「がりがりボード」

組み木づくりの猫の爪とぎ「がりがりボード」

岩手県遠野市の木工職人が、伝統的な組み木の技術を活かして、岩手の県木であるナンブアカマツとナラ材を組み合わせ、美しく仕上げた木製の爪とぎです。

組み木づくりの猫の爪とぎ

釘を一切使用していないため、サビによる腐食や劣化の心配がありません。蓋の部分には硬いナラ材を使っているので、ネコさんが誤って本体部分を研いでしまうことも防げます。ナンブアカマツとナラ、それぞれの異なる木目や質感のコントラストは、まるでデザインのように美しく、眺めているだけで心が癒されます。

段ボールを交換することで長く使える猫の爪とぎ

消耗する研ぎ部分の段ボールを交換できるので、何世代にもわたり長期間使い続けることが可能です。

経年変化を楽しめる、使用7年後の比較

室内の環境や置き場所にもよりますが、使い続けることで岩手県産材ならではの経年変化もお楽しみいただけます。まるでレザーのように、年月とともに味わい深く、自分だけの特別な風合いへと育っていきます。

がりがりボード

木の重みで思いっきりガリガリしても動かない安定感抜群の爪とぎ。2012年度グッドデザイン賞受賞詳細はこちら

本来なら使われずに廃棄されてしまう、広島県産デニムの「耳(セルビッジ)」を再利用した、サステナブルな猫用ベッド「あみあみベッド」

廃棄される広島県産デニムを使った猫用ベッド

本来なら使われず廃棄されるはずだった広島県産デニムの耳を、岩手の裂き編み職人がひとつひとつ丁寧に手編みで再生しました。環境に配慮しながら、味わい深い新たな価値を生み出しています。

通常は廃棄されることが多いデニムの耳を利用

デニムの「耳(セルビッジ)」とは、生地の両端にある、ほつれ防止のため補強された部分のことです。製品を作るときに余ってしまうため、通常は廃棄されることが多い素材です。

デニムの耳を職人が編む様子

デニムの耳は丈夫でしなやかさがあり、しっかりと編み込むことで耐久性が増し、ネコさんが長く愛用できる仕上がりになっています。

また、自由自在にカタチと高さが変えられる2way仕様で、ベッドとしてもマットとしても使用可能です。まるでゴムのように伸び縮みするネコさんの動きに自然にフィットします。ほどよい弾力と高さが「あごのせ」にも最適です。使い込むほどに風合いが増し、愛着の湧く特別なベッドになります。

あみあみベッド

広島県産デニムを、岩手の裂き編み職人が手編み。動きに合わせて変形するから、ストレスフリーなネコ用ベッド。詳細はこちら

まんま台セパレート

一目造りで耐久性を高めた猫の食器台

岩手県産ナンブアカマツを知り尽くした、岩手の職人が継ぎ目がない一木造りのシンプル構造により耐久性を高めました。ガタつくことなく丈夫で永く使うことができます。

岩手県産の木材を使用 (産地証明)

健全な生態系を守る考えから産地証明のある合法木材を使用しています。違法に伐採された木材は使用いたしません

台にくぼみがあるから食器が移動せず集中してごはんを食べることができます。

R加工で角を丸くし安全性に配慮

シンプルなデザインで求める機能を実現しました。角を落とした丸いカタチによりネコさんが怪我をしないよう機能性と安全性に配慮しました。スタッキングタイプになっており台を重ねることで高さを自由に調整できます。高齢猫の吐き戻し対策にもおすすめです。
機能そのものがデザインでもあるシンプルで美しいカタチ。素材の良さをそのまま生かしています。

まんま台セパレート

食べづらそうなネコの食事の姿勢をサポートし、ごはんの吐き戻しを改善します。重ねることでネコさんに合わせた高さに調整可能。
詳細はこちら

健康の維持(SDGs目標3「すべての人に健康と福祉を」)

自宅で健康チェック「うちのねこといっしょ」シリーズ

ネコの体で起こる知覚されないリスクを見える化する健康チェックシリーズ。気になる症状がなくても、自宅で定期的に健康チェックすることで違和感を早期発見し、動物病院へ行くきっかけになります。

ネコ用検査キット「うちのねこといっしょ」シリーズ

自宅で気軽に健康チェック。口腔内・尿・飲み水の硬度、3種の検査キットで複合的にネコさんの現状を把握。2023年度グッドデザイン受賞。詳細はこちら

夢中で食べる食器「まんまボウル」

ネコさんの健康を考えた設計で、傾斜のあるデザインによって食べ残しを減らし、適切な栄養摂取をサポートします。

縁に返しをつけることで食べこぼしを防ぎ清潔を保つことで病気予防にもつながります。さらに、磁器製で傷がつきにくく細菌の繁殖を抑えられるため、衛生的に長く使用することができます。

まんまボウル ごはん用 M

「斜め」だから最後のヒトクチまで食べやすい。「食べこぼし・食べ残しが減った」とシニア猫、鼻ぺちゃ猫さんにも好評。日本製、磁器製で傷がつきにくく衛生的。
詳細はこちら

フードロスの削減(SDGs目標12「つくる責任、つかう責任」)

フードロスを減らす「ねこずきのごはん」

三陸産メカジキの切り落とし部位を再利用した、魚と水だけで作られたネコ用水煮缶詰です。

刺し身や切り身を加工する際に発生する切り落とし部分をネコのごはんとして活用し、岩手県陸前高田市のヒト用缶詰工場で製造しています。

【食べ比べ】ねこずきのごはん3種×2缶 6缶セット

マンダイ、メカジキ、メバチマグロの3種類を食べ比べ。原材料はすべて魚と水のみでつくられた、無添加のウェットフード。
詳細はこちら

省エネルギーの推進(SDGs目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」)

繰り返し使える「湯たんぽ」を熱源にした「ぽかぽかクッション」

冬の外出時、寒がりなネコさんに暖房をつけたままでかけたいのが親心。でも、火事が心配です。

そんなとき、安心なのが湯たんぽタイプの暖房「ぽかぽかクッション」

電気を使わないため、冬のお留守番時も火事の心配がありません。

水温を調整できるので、寝たきりのネコさんにも安心です。縫製の町・岩手県久慈市で製作いたずら防止の専用クッション付きです。

ぽかぽかクッション

湯たんぽ+ふかふかのカバー。電気を使わない、ネコさんのあったか防寒グッズ。冬のお留守番も安心。
詳細はこちら

私たちができること

ネコさんと暮らす私たちができることは、環境への配慮だけではなく、ネコさんにとって本当に快適で、安全で、長く愛用できるものを選ぶこと。

猫用品を手に取るとき、「この商品はネコさんにとって心地よいだろうか?」「ずっと使い続けられるものだろうか?」と、一度立ち止まって考えてみませんか?

私たちの小さな選択が積み重なることで、ネコさんの幸せな暮らしを守り、未来の環境にもやさしい世界へとつながっていきます。

今日から、あなたの選ぶひとつひとつが、ネコさんの暮らしをより快適にし、地球環境を守る力になります。次に猫用品を選ぶとき、その選択が未来につながることを、少しだけ意識してみませんか?

  1. ファストファッションとは、最新の流行をいち早く取り入れ、低価格で大量生産・販売するファッションブランドやその仕組みのことです。 ↩︎