ネコさんに引っかかれた!病気の可能性ってあるの?
軽症に見えるけど、病院に行った方がいいのかな?
猫ひっかき病ってどんな病気だろう?
ネコさんに引っかかれたら、「猫ひっかき病」や「パスツレラ症」などの病気に感染する可能性があります。
とくに猫ひっかき病は地域性も高く、全国的にはまだまだ周知が広まっていない病気ですが、決して稀な病気ではありません。“猫に引っかかれた際の感染症の可能性”について正しく理解したうえで、適切に対応することが大切です。
この記事では、ネコさんに引っかかれたときの応急処置の方法や受診の目安をはじめ、猫飼いさんのなかでも認知度が低い「猫ひっかき病」について、専門家監修のもと詳しく解説します。
【監修専門家プロフィール】
国立大学法人 山口大学大学院医学系研究科保健学専攻(山口大学医学部保健学科)
臨床微生物学を専門としており、特にバルトネラ・ヘンセレ感染症の診断法の開発とその感染実態を中心に研究を進めている。
国立大学法人 山口大学大学院医学系研究科保健学専攻(山口大学医学部保健学科)
山口大学大学院医学系研究科で猫ひっかき病研究の第一人者である常岡教授を師事。ネコに対する猫ひっかき病のワクチン開発を目指し、病原菌であるバルトネラ・ヘンセレの研究を行っている。
この記事の目次
猫に引っかかれたらどうすればいい?
ネコ飼いさんにとって、ネコさんに引っかかれたり咬まれたりすることは日常茶飯事かと思います。
しかしたとえ室内飼いであっても、ネコさんから傷を受けると感染症の可能性が少なからず生じます。小さな傷でも軽視せず、適切な処置をすることが大切です。
猫に引っかかれたときの応急処置
ネコさんに引っかかれてしまったら、まずは以下の手順で速やかに応急処置を行いましょう。
1.傷口を流水で洗う
まずは、傷口を流水で十分に洗い流します。傷口に入り込んだ細菌や異物を洗い流すようなイメージで、時間をかけて念入りに流すのがポイントです。
このとき、よく泡立てた石けんを傷口にあてると、菌が浮き上がりやすくなります。
2.止血する
出血がある場合は止血をしましょう。出血している部位に直接、清潔なタオルやガーゼなどを当て、その上から手で傷口を押さえるようにしばらく圧迫します。
傷口を心臓部より高くすることで血が止まりやすくなります。
3.傷口を消毒・保護する
傷口を清潔にし、血が止まったら、絆創膏やガーゼなどを貼り傷口を保護します。消毒液があれば傷口に使用するとなお安心です。
消毒液はイソジンがおすすめです。手元にない場合は無理して用意する必要はありません。
【消毒液は必要?】
近年「ケガをしたときに消毒はしないほうがよい」という考え方が見られます。
消毒液の殺菌力が強すぎるために、正常な皮膚にも影響を及ぼす可能性があるからです。
また、日本の水道水には塩素が含まれているため、洗い流すだけでも十分な殺菌作用が得られることも考えられます。消毒液の使用可否について、どちらが正しいということもありません。
基本は新鮮な水道水で十分に傷口を洗い流すことが重要です。そのうえで、ネコさんに引っかかれた場合は消毒もできると安心だと、個人的には考えています。
猫に引っかかれたときに使える市販薬
ネコさんに引っかかれたら、応急処置として抗生物質成分入りの市販薬を使用するとよいでしょう。
細菌の増殖を抑える抗生物質成分入りで、症状の悪化を防ぐ効果があります。
第2類医薬品のため、ドラッグストアやネットショップなどで手に入ります。
しかし2~3日ケアしてもよくならない場合や、腫れや痛みが強い場合、化膿が見られる場合、発熱や全身症状を伴う場合などは感染症の可能性があります。市販薬での様子見は避け、速やかに医療機関を受診しましょう。
猫に引っかかれたあとに注意したい症状
ネコさんに引っかかれたあとは、以下のような症状が出てこないか注意してください。
このような症状が見られると、人獣共通感染症の可能性があります。
とくに「猫ひっかき病」の場合、ネコさんに引っかかれてから1~2週間程度の潜伏期間を経てリンパ節の腫れ(有痛性)や発熱・倦怠感が生じるケースが一般的です。しばらくの間、症状に注意を払いましょう。
動物からヒトへ伝播可能な感染症のこと。病原体は細菌、ウイルス、寄生虫などさまざま(猫ひっかき病の病原体は細菌)。
「動物由来感染症」や「ズーノーシス」など、さまざまな呼称がある。
この記事ではおもに「猫ひっかき病」について解説しています。
猫ひっかき病とは?
「猫ひっかき病」とは、その名のとおりネコさんに引っかかれたり咬まれたりすることで、人が感染する病気です。
ネコさんに引っかかれること以外にも、以下のような場合に感染する可能性があります。
「“猫”ひっかき病」というネーミングではありますが、中にはイヌさんから感染するケースもあります。さらに引っかかれたり咬まれたりといった傷を受けなくても、接触しただけで感染するケースもあり、注意が必要です。
また原因菌を媒介するノミに、人が刺されることで猫ひっかき病を発症した例もあります。
猫ひっかき病の原因菌
猫ひっかき病は、「バルトネラ・ヘンセレ(Bartonella henselae)」という細菌によって引き起こされます。感染経路としてネコノミが重要です。
バルトネラ・ヘンセレを保有するノミがネコさんに寄生し吸血する、あるいはノミのフン(※)を介して、ネコさんの血液中(赤血球)に感染します。(※バルトネラ・ヘンセレは、ノミの腸管に感染します)
バルトネラ・ヘンセレに感染したネコさんが毛づくろいをすることによって、ネコさんの体にも原因菌が付着することが考えられます。
そのため、ネコさんに引っかかれたという事実がなくても、ネコさんが感染していれば日常的な接触だけで飼い主さんに移ってしまう可能性があるのです。
なお、バルトネラ・ヘンセレはネコさんに対する病原性はなく、ネコさんが感染しても無症状であることが一般的です。飼い主さんが猫ひっかき病を発症したことで、ネコさんの保菌が判明したとしても、現時点ではネコさんに治療の必要が生じるわけではありません。
「猫ひっかき病」というより、「バルトネラ・ヘンセレ感染症」といったほうがふさわしいかもしれません。
猫ひっかき病の症状
猫ひっかき病の症状は、「定型例」と「非定型例」の大きく2つに分かれます。
定型例の症状
リンパ節の腫れに加えて発熱、頭痛、倦怠感などを伴うのが一般的な猫ひっかき病の症状の特徴です。ネコさんに引っかかれた(または咬まれた)あと、1~2週間程度で症状が現れます。
腫れが見られるのは、受傷部位のすぐ近くのリンパ節です。
以下の画像は定型的な症例です。
背中を引っかかれた患者さんは首のリンパ節が腫れ、指先を引っかかれた患者さんは脇のリンパ節が腫れています。
非定型例の症状
一方、猫ひっかき病の非定型例では、以下のような全身性感染を伴うことがあります。
非定型例の臨床像は、多岐にわたります。
原因不明の発熱や肝・脾肉芽腫では、熱が1ヶ月以上続く例があります。中にはリンパ節の腫れが見られず、原因不明の発熱だけが主な症状となる場合もあり、小児では全身性感染を引き起こしやすい傾向があります。
免疫不全患者の病型
HIV感染などの免疫不全状態にある患者さんでは細菌性血管腫、細菌性肝臓紫斑病、急性脳症、心内膜炎などの全身性感染を起こし重症化します。
猫ひっかき病の感染報告が多い時期と地域
猫ひっかき病は、季節性のある感染症です。感染報告は秋から冬(9月頃~1月頃)にかけて増加する傾向にあります。
これは、猫ひっかき病の感染経路となるネコノミの繁殖に関係していると考えられます。
感染報告の多い地域はおもに西日本です。温暖な地域ほど感染報告が顕著に現れています。
ノミは気温も湿度も高くなる夏場に繁殖力が高まると言われています。そのため、夏場にバルトネラ・ヘンセレに感染したネコさんが増え、気温が下がる秋から冬にかけてネコさんが飼い主と接触する機会が増えるため、秋から冬に患者さんが多いのではないかと捉えています。
日本以外の国にも似たような傾向が見られています。
猫ひっかき病とパスツレラ症の違い
ネコさんに引っかかれたり、咬まれたりすると「パスツレラ症」という感染症にかかる可能性もあります。
猫ひっかき病とパスツレラ症の大きな違いは「症状の出方」です。
猫ひっかき病は、ネコさんに引っかかれたあと1~2週間でようやくリンパ節の腫れや発熱などの症状が現れます。腫れたリンパ節に痛みは伴いますが、引っかかれた傷自体には腫れや痛みがあまり見られないといった特徴もあります。
一方パスツレラ症の場合、傷を受けてから数時間〜数日以内に症状が悪化してくるケースが一般的です。傷口の化膿も多く見られ、傷そのものに痛みを生じます。
パスツレラ症の原因菌は動物の口腔内に存在することから、引っかかれた場合よりも咬まれた場合に発症するケースが多く見られます。
猫ひっかき病は自然に治るケースも多い一方、パスツレラ症は症状が現れたらすぐに医療機関を受診し、抗生物質を投与する必要があります。
【パスツレラ症の特徴】
猫に引っかかれたときの受診の目安
飼い主さんにとって、ネコさんに引っかかれるのはよくあることです。しかし場合によっては感染症を発症するおそれがあり、医療機関を受診したほうがよいケースもあります。
ここでは受診が必要な症状、受診時のポイント、何科にかかるべきかについて詳しく解説します。
受診が必要な症状
ネコさんに引っかかれたり、咬まれたりした際、以下のような症状がある場合には、医療機関の受診をおすすめします。
猫ひっかき病以外にも、「パスツレラ症」「破傷風」「カプノサイトファーガ」といった感染症の可能性も考えられます。上記のような症状が見られた場合にはなるべく早めに医療機関を受診しましょう。
必ずしも「猫に引っかかれたらすぐに医療機関を受診する必要がある」というわけではありません。受診すべき症状を理解し、対応することが大切です。
何科にかかるべき?
症状や状況に応じて受診する科を選びましょう。
参考までに、症状ごとの受診科目の一例をご紹介します。
【内科を受診した方がよいケース】
発熱やリンパ節の腫れといった症状がある場合には、内科の受診をおすすめします。
また免疫力が低下している人が猫ひっかき病に感染した可能性がある場合にも、内科を受診するとよいでしょう。
【外科を受診した方がよいケース】
出血が止まらないほど傷口が深い場合には、傷口の縫合処置の必要性が考えられます。
この場合、まずは外科の受診をおすすめします。
【小児科を受診した方がよいケース】
猫ひっかき病患者を年齢別に見ると、小児が患者全体の8割程度を占めているというデータがあります。
小児科においても猫ひっかき病の診断は可能なので、お子さんに症状が見られた場合は小児科を受診してください。
【眼科を受診した方がよいケース】
猫ひっかき病では、まれに視神経に影響を与えるケースがあります。視力低下などの症状が見られた場合には眼科を受診してください。
猫ひっかき病は、患者さんの間では周知が広まっていないものの、医師の間では一般的な病気の一つとして認識されるようになりました。そのため、基本的にはどの科を受診しても診断が可能です。
【参考資料】
※CSD患者=猫ひっかき病患者のこと
上記の資料は、我々の施設に送られてきた検体のうち、猫ひっかき病と診断された188例の患者さんが受診した診療科をまとめたものです。
最も多いのは小児科、続いて内科、外科、整形外科、眼科と続きます。
猫ひっかき病の症例は実に多様であることがわかります。
受診時のポイント
医療機関を受診する際には「猫に引っかかれた」「猫と暮らしている」など、ネコさん(またはイヌさん)と接触した事実を医師に必ず伝えてください。猫ひっかき病などの人獣共通感染症(動物由来感染症)の診断のカギとなります。
とくに猫ひっかき病の診断の際は「猫(または犬)との接触歴があるか」という点を医師は重視しています。
引っかかれた事実がなくても、ネコさんに触っただけで感染する可能性も否定できません。ネコさんやイヌさんとの接触歴について、思い当たることが少しでもあれば医師に伝えましょう。
猫ひっかき病の診断と治療法
ここでは、猫ひっかき病の診断方法と治療法について解説します。
猫ひっかき病の診断方法
猫ひっかき病の診断には、おもに血液検査(血清学的診断法)が用いられます。原因菌に対する抗体価を測定することで、診断を特定します。
抗体価測定の方法は、本記事を監修してくださった山口大学医学部の先生方が独自にバルトネラ・ヘンセレ抗原を作成し、猫ひっかき病診断法を確立したものです。
他にも、培養法(リンパ節や血液培養検査)やPCR法(リンパ節穿刺・生検)といった検査を用いて診断する方法もあります。
患者さんからのバルトネラ・ヘンセレの分離培養は極めて難しく、現実的ではありません。またリンパ節穿刺・生検からのPCR法は患者さんにメスを入れる必要があるため、患者さんに多大なストレスを与えます。そのため我々はこれらの診断法は推奨していません。
幸いなことに現在は医師のほとんどが、猫ひっかき病の効果的な診断法を把握しています。
猫ひっかき病の治療法
一般的な猫ひっかき病の症状の場合、約6~12週間で自然に治るケースがほとんどです。
腫れたリンパ節も切除の必要はほとんどなく、自然に軽快します。万が一膿が溜まってしまっている場合には、吸引することで楽になるでしょう。
少しでも早く軽快を目指す場合には、抗生物質が有効です。また全身症状のある非定型例では、積極的に抗生物質を投与する必要があります。
猫ひっかき病に使われるのは、マクラロイド系やテトラサイクリン系など一部の抗生物質のみです。
【自然に軽快するなら受診はしなくてもいい?】
ネコさんに引っかかれたあと、リンパ節が腫れてくれば猫ひっかき病の可能性は高いと言えるでしょう。その時点で自己判断して“受診しない”という選択もできますが、もしかするとその後、非定型例に進んでくる可能性も否定はできません。
また、熱が出てリンパ節が腫れる病気は猫ひっかき病以外にもたくさんありますので、症状が出たら一度受診していただいた方が安心だと思います。
猫ひっかき病の非定型例では重症化し、治療に難渋したケースや極めて稀ですがそれに伴い死亡に至った例も報告されています。
また、猫ひっかき病以外の感染症にも重症化例や死亡例が見られています。
病気について正しく理解し、適切に対応することが大切です。
猫ひっかき病の予防策
猫ひっかき病を予防するためには、愛猫の健康管理や日常生活での対策が重要です。ここでは、猫ひっかき病を防ぐための具体的な予防策を紹介します。
愛猫の健康管理が大切
ネコさんの健康管理を行うことは猫ひっかき病の予防策のひとつとして有効です。
とくに猫ひっかき病の原因菌は、ノミを介してネコさんに感染します。そのため、ノミ駆除を徹底することで、感染リスクを減少させることができます。
ノミが室内に入り込む方法として、外出した人間の衣服に付着するということも考えられます。
ネコさんが過ごす環境を常に清潔に保つことも大切です。
日常生活でできること
猫ひっかき病の予防策として、日常生活で飼い主さんができることは以下のとおりです。
猫ひっかき病の原因菌を持つ可能性が高いのは、飼い猫よりも野良猫だといわれています。
ネコさんを外出させたり、飼い主さんが野良猫のお世話をしたりすると原因菌が室内に持ち込まれ、感染のリスクが高くなってしまいます。
愛猫を守るためにも、野良猫には触らないようにし、ネコさんを外に出さないように心がけましょう。
また少し視点を変えて、ネコさんが飼い主さんを引っかく原因を考えてみると「ネコさんのストレスが溜まっている」ことが挙げられます。
一度に遊ぶ時間は5分程度と短時間でもよいので、1日3~5回程度、ネコさんと一緒に遊ぶ時間を作ってあげることも大切です。
一番の対策は定期的な爪切り
愛猫からの猫ひっかき病の感染を予防するために効果的な対策は、定期的な爪切りです。
野生のネコさんは狩りをしなければ生きられないため、爪はするどくしておく必要があります。
しかし飼いネコさんは狩りをする必要がありません。爪は切ってしまってもまったく問題がないのです。
むしろ飼いネコさんの場合、爪を切らずに放置していると、以下のような危険性を伴います。
伸びた爪で引き起こされる3つの危険性
・爪がひっかかり身動きが取れなくなる
・伸びた爪で飼い主さんが怪我をする
・ネコさん自身が巻き爪で怪我をする
※引用:nekozukiブログ|ネコさんに忍び寄る巻き爪の危険 より
伸びた爪を放置していると、飼い主さんだけでなくネコさんがケガをするおそれもあります。
このことから考えても、やはり定期的な爪切りは不可欠です。
ちなみに「爪とぎをしていれば爪切りはしなくてもいいのでは?」と考える飼い主さんも見られますが、「爪切り」と「爪とぎ」は別物です。
爪とぎの役割・・・古い爪の層をはがして新しい爪の層(※)を出すこと
爪切りの役割・・・鋭く尖った爪を丸く整えること
※参考:nekozukiブログ|ネコさんの爪の構造はどうなってるの?
ネコさん自身で爪とぎをしていても、尖った爪は丸くなりません。
鋭い爪で部屋を傷つけたり、人やネコさんがケガをしたりしないように、飼い主さんが定期的に爪切りをしてあげる必要があります。
爪切りの頻度は、2週間~1ヶ月に一度が目安といわれています。しかし実際には、ネコさんの爪が伸びるペースや飼い主さんのライフスタイルなどに応じて無理なく対応するのがよいでしょう。
以前nekozukiで実施した「ネコの爪切り頻度・アンケート結果」では、「伸びたと感じたら」切る飼い主さんの割合が最も多く見られました。
同アンケート内のコメントには「毎週日曜が爪切り日」や「一日、一本」などルールを決めている飼い主さんの姿も。みなさん、さまざまな工夫をしながらネコさんの爪切りをされているようです!
爪切りを嫌がるネコさんに「爪切り補助具 もふもふマスク」
ケガや感染症を予防し、ネコさんと安全に暮らすためにも、定期的な爪切りが欠かせません。とはいえ「爪切りが大好き」というネコさんはほとんどいないと思います。
ネコさんが爪切りを嫌がる場合、爪を1本切ることすらままならない……というのが現実です。爪切りをしようとしたらネコさんが大暴れして、その拍子に飼い主さんが引っかかれたり咬まれたりする、なんてこともあるでしょう。
このようなお悩みを解決するべくnekozukiでは、爪切りにお困りの飼い主さんの声をもとに、爪切り補助具の「もふもふマスク」を開発しました。
もふもふマスク4つのポイント
1.ネコさんの習性を活用した設計
ネコさんには「目隠しをすると大人しくなる」という習性があります。
この習性を活用し、ネコさんと飼い主さんの負担を減らしつつ無理なく爪切りができるようなつくりを設計しました。
2.「マジックテープ」で簡単着脱
マスクを着用するのもネコさんにとって嫌なことであるのに変わりはありません。
短時間でサッと爪切りが終われるように、スムーズな着脱ができる設計にしています。
3.「立体縫製」でやさしくフィット
製品はすべて岩手の縫製職人が一つひとつ手作りしています。
ネコさんの骨格にあわせ、顔を優しく包み込むような立体感を大事にしました。
4.豊富な8サイズ展開
商品開発後も、お客様の声をもとに改良を重ねてきました。
現在はSS、S、M、L、鼻ぺちゃSS、鼻ぺちゃS、鼻ぺちゃM、鼻ぺちゃLの全8サイズを展開。子ネコさんから鼻ぺちゃさんまで、どんなネコさんにも安心して使っていただけるように対応しています。
うちのネコさんは爪切りを嫌がるので諦めていた
毎回動物病院で、麻酔をして切ってもらっていた
爪切りはお互いにとってものすごく嫌な時間……
このようなお悩みを抱えている飼い主さんは、ぜひ一度もふもふマスクをお試しください。
【ご購入者さまの声】
もっと早く出会いたかった!!何しろ猫さんにも私にも優しい道具なんです。今までつめ切りがお互いに嫌で嫌で仕方なかったのに…。作り手に感謝です。
気にいっており、静かに爪を切ることができました。
他にもご購入者様からたくさんの声をいただいております。
\累計販売数30,000枚突破!/
ネコ爪切り用マスク「もふもふマスク」の詳細はこちら
https://kurokuro.jp/c/list/trimming/trimming03/mask
【専門家インタビュー】猫ひっかき病に関するQ&A
最後に、本記事を監修していただいた山口大学・医学部教授の常岡先生に、nekozuki代表の太野が、猫ひっかき病に関するさまざまな疑問を伺いました。
ねこずきのみなさんに、猫ひっかき病への理解を深めてもらえたらうれしく思います。
常岡 英弘 教授(特命)
国立大学法人 山口大学大学院医学系研究科保健学専攻(山口大学医学部保健学科)
臨床微生物学を専門としており、特にバルトネラ・ヘンセレ感染症の診断法の開発とその感染実態を中心に研究を進めている。
nekozuki編集部 太野由佳子
(株)クロス・クローバー・ジャパン代表取締役。ネコ目線のモノづくりでネコの困りごとを解決する商品を数多く開発。
Q1.猫ひっかき病の患者が多い年齢層はありますか?
A1.猫ひっかき病は、小児に多い感染症です。
私たちが猫ひっかき病の研究を始めたのは20年ほど前になります。以下は当時の調査結果をまとめた資料です。
188例中152例、約8割の患者さんが18歳未満のお子さんでした。現在もこの傾向にほとんど変わりはありません。現在我々に送られてくる検体も小児のものが圧倒的に多いです。
ただ、子どもに多く見られるものの、大人の方の症例もあります。年齢層は幅広く、性別による差もないため、誰もが感染する可能性を秘めています。
Q2.猫ひっかき病は、どの病院を受診した場合もその場で診断が可能なのでしょうか?
A2.医師が猫ひっかき病を疑うことさえできれば、検査自体はどの病院でも可能です。
しかし検査結果はその場で出るものではありません。「検体を送る場所」によって、結果が出るまでに1週間または1ヶ月以上の日数を要します。
多くの場合、大手の検査センターに検体が送られますが、そのうちバルトネラ・ヘンセレの抗体価を測定できるのは、国内では山口大学だけです。本学以外の検査センターに送られた検体は、アメリカに送って検査をしています。そのため、検査結果が出るまでに約1ヶ月以上かかるのです。
一方「猫ひっかき病の検査=山口大学」という認識を持っていただいている病院は、直接山口大学に検体を送ってくれます。
我々に送っていただければ、1週間程度で検査結果をお伝えできるように努めていますので、より早く診断が可能です。
(※日本感染症学会・日本臨床微生物学会公認の先進的感染症検査機関に、猫ひっかき病の唯一検査可能施設として当大学が記載されています)。
Q3.猫ひっかき病の症状として、定型例と非定型例はどちらが多いですか?
A3.8対2の割合で、定型例を発症する患者さんのほうが多いです。
猫ひっかき病の患者さんのほとんどが「ネコさんに接触あるいは引っかかれて、リンパ節が腫れてきた」という定型例に当てはまります。
非定型例で多い症状は発熱です。引っかかれていない場合であっても原因不明の熱が続くことがあります。
そうした場合、医師に「ネコさんと暮らしている」「最近ネコさんと接触した」など、ネコさんとの接触歴を伝えることで診断につながる可能性が高まります。
Q4.飼いネコさんでも猫ひっかき病の原因菌に感染する可能性はありますか?
A4.はい。飼い猫であっても猫ひっかき病に感染した症例はあります。以下の資料は「飼い猫の保菌率」を地域別に示したものです。
※資料内数値引用元:Journal of Infection and Chemotherapy 28 (2022) 112–115(日本における抗バルトネラ・ヘンセレIgM/IgG陽性率に基づく猫ひっかき病の季節的・地域的特徴の探究 より)
※山口県の数値は山口大学独自に調査したもの
野良猫になると、さらに保菌率は高くなると考えられています。
室内飼いのネコさんであっても、たとえば飼い主さんや家族が野良猫を触ったり、ネコさんが隙を見て外に出てしまったりすることもあるでしょう。
バルトネラ・ヘンセレに感染したノミがどのような経緯で室内に入り込むかはさまざまですが、まったく可能性がないとは言い切れないものです。
病気の存在を知っておくことで、万が一症状が出た場合に猫ひっかき病の可能性を推察できるかと思います。
Q5.猫ひっかき病の感染を予防するためのワクチンはありますか?
A5.猫ひっかき病を直接的に予防するためのワクチンはまだありません。我々が研究課題のひとつとして挙げていますが、開発途上というのが現状です。
また、飼いネコさんの感染を知るための手段として、手軽な抗原・抗体測定キットの開発も目指しています。
しかしながらキットの開発によって、仮に飼いネコさんの感染が事前にわかったとしても、ネコさんに抗生物質を投与するというのは現実的ではないかもしれません。
やはり一緒に暮らす人間側が病気について理解したうえで、積極的な予防策をとることが最も大切なのではと考えています。
まとめ
ネコさんに引っかかれたら、「猫ひっかき病」などの感染症にかかるおそれがあります。
軽症に見える場合でも、ただちに傷口を流水で洗うなどの適切な処置を施し、症状に応じて医療機関を受診しましょう。
猫ひっかき病は秋から冬にかけて増加する傾向があります。予防策として最も有効なのは、定期的な爪切りです。
ネコさんが爪切りを嫌がってしまい、なかなか切らせてくれないとお悩みの飼い主さんは、ぜひnekozukiの「もふもふマスク」を試してみてください。
少しでもネコさんと飼い主さんの負担が軽減されたら幸いです。