脱走したネコさんの探し方を教えてください!
脱走したネコさんを見つけたのに、近づくと逃げてしまう……
さっきまで家にいたのに、気づいたらいない。もしかして脱走?
「ネコさんが脱走したかもしれない」――そんなとき、ただ闇雲に探すのではなく、ネコさんの行動パターンや時間帯の特徴に合わせた「探し方のコツ」を知っているかどうかで、その後の動き方が大きく変わってきます。
この記事では、動物愛護団体「動物いのちの会いわて」の代表・下机都美子さんのお話をもとに、ネコさんが脱走したときの探し方・見つけるコツ、周囲に協力してもらう方法や再び脱走させないための対策について紹介します。
いままさに迷いネコさんを探している方にも、もしものときの備えとして知っておきたい方にも役立つよう、猫探しの経験が豊富な下机さんのアドバイスをていねいにまとめました。
お話をうかがった専門家

下机 都美子さん
岩手県雫石町を拠点に、犬や猫の保護・譲渡活動、地域猫活動などを行う「動物いのちの会いわて」(2000年発足)代表。脱走したネコさんの捜索活動も数多く行なってきました。
下机さんからのひとこと
会の設立から26年間で、実際の捜索に関わった迷子猫はおよそ320頭、捜索率は99%以上です。また、迷子猫探しの相談・アドバイスもこれまでに約940件対応してきました。
こちらのお話をぜひ参考にしてみてください。
- 愛猫が脱走した、または可能性があり、いままさに探している人
- 迷子猫の探し方のコツを知りたい人
- 「うちのコがもし脱走したら…」と不安を感じている人
- ネコさんの脱走防止対策を見直したい人
- 迷子猫チラシやSNSでの情報発信のコツを知りたい人
この記事の目次
猫が脱走したことに気づいたらまずやること

「ネコさんがいない!脱走したかも!」と思った瞬間は、どうしてもパニックになりがちです。
しかし下机さんによると、実際には「家の中に隠れていただけ」というケースも少なくないそうです。いったん落ち着いて、まずは家の中の捜索からはじめましょう。
猫がいないと気づいたときの「やることリスト」
脱走に気づいた時間帯などにもよりますが、以下のSTEP1〜5は脱走に気づいてからすぐ(数時間以内)にやること、STEP6〜7は脱走当日〜翌朝までに行うことが目安です。
脱走の瞬間を見ていない場合は、STEP1の次にSTEP3へ進み、STEP2は飛ばしてください。
STEP1:まず落ち着いて状況を整理する
- 時計を見て「気づいた時刻」と状況をメモする。
- 脱走した瞬間を見たかどうかを確認する。
STEP2:脱走の瞬間を見た場合は、情報をメモする
- 追いかけ回したり大声を出したりせず、ネコさんの動きを静かに目で追う。(しゃがんで目線を下げる/名前を呼ぶときは小さな声で)
- 「いつ・どこから・どちらへ出たのか」をメモしておく。※この情報は、あとで捜索範囲を決めるときの大事な手がかりになります。
STEP3:家の中を一部屋ずつ、静かにくまなく探す(脱走の瞬間を見ていない場合)
- 押し入れ・クローゼット・家具の裏など「静かで狭くて暗い場所」を中心にチェックする。
- この段階では、玄関や窓を開け放したままにしない(家の中にいた場合、本当に外へ出てしまうため)。
STEP4:家の中で見つからなければ、敷地内を探す
- ベランダ・庭・駐車場・物置・室外機の裏など、建物のまわりをひと回りする。
- 車の下や縁の下など、ネコさん目線で「身を潜めやすい場所」を一つずつ確認する。
STEP5:家の中・敷地内にもいなければ、家のまわりを静かに捜索する
- 目安として自宅から半径200mほどを、静かに歩きながら探す。
- 車の下・ボンネットの中・植え込みなど、「隠れ場所」になりそうなところを重点的に見る。
STEP6:少し探しても見つからなければ、いったん家に戻り「戻りやすい環境」を整える
- 玄関や出ていった窓を、防犯に配慮しながら少しだけ開けておく。
- その近くに、ネコさんの猫砂・寝床・ブランケット、飼い主さんの服など匂いのついた物を置く。
- 多頭飼いの場合は、他のネコさんが外に出ないようケージに入れるなどして対策する。
STEP7:並行して、周囲への連絡・情報発信を始める
- 保健所や警察(拾物係)に、ネコさんが迷子になったことを連絡する。
- 迷子猫チラシを作成し、近所へのポスティングや掲示をする。
- 近隣の動物病院や保護団体などに迷子猫チラシを渡し、情報提供をお願いする。
- SNSや迷子猫掲示板などで、迷子情報を発信する。
なお、2日目以降に試したいこと(トレイルカメラや捕獲器の活用など)は、後半の「猫の脱走から数日経っても見つからないときに試したいこと」で詳しく紹介します。
脱走に気付いた初日の行動として、まずは上記を実行してください。
以下で、順番に詳しく見ていきます。
まずは家の中・敷地内をしっかり確認
脱走の瞬間は見ていないけれど、家の中に姿が見えないときは、まずは本当に外に出たのか、まだ家の中にいるのかを落ち着いて確認しましょう。
家の中では、次のような場所を一つずつチェックしてみてください。
- 押し入れやクローゼットの奥、布団の中
- 冷蔵庫・タンス・洗濯機など、大型家電の裏やすき間
- 洗面台の下や浴室まわり
- 玄関横の収納、階段下収納 など
扉を開けただけでは見えないことも多いので、懐中電灯で奥まで照らして、目が光らないかを確認するのがおすすめです。
あわせて、敷地内もひと回りしておきましょう。
- ベランダのすみや物置の中
- 室外機の裏
- 駐車スペースのすみ
- 縁側の下 など
とくに「静かで、狭くて、暗いところ」は、ネコさんが身を潜めやすい場所です。
室内と敷地内をていねいに確認したうえで、「出ていきそうな窓や玄関が実際に開いていたか」「そこに毛がついている、物が倒れているなどの“通った形跡”があるか」といった手がかりもあわせて見ていきます。
その結果、「やっぱり外に出た可能性が高そうだ」と判断できたら、次の見出し「外に出たと判断できたら、すぐやること」に進みましょう。
下机さん 私たちの経験上、「実は家の中にいた」というケースが、体感で半分近くを占めます。
たとえば、普段はほとんど開けることのない棚や押入れの扉を、たまたま開けているときにネコさんが入り込み、気付かずに扉を閉めてしまい閉じ込めてしまうケースなどがあります。
ですから、ネコさんがいないことに気付いたら、まずはお家の中の捜索からしていただきたいです。
なお、この段階では玄関や窓を開け放したままにするのは避けましょう。もしネコさんが家の中にいた場合、そのすき間から本当に外へ出てしまうおそれがあるためです。
外に出たと判断できたら、すぐやること
家の中と敷地内をていねいに探してもネコさんが見つからず、「やっぱり外に出てしまった可能性が高そうだ」と感じたら、すぐに行動を切り替える必要があります。
このときのポイントは、脱走した瞬間を目撃したか、それとも脱走した瞬間を見ていないのかで、最初にやることが少し変わります。
それぞれ順番に整理していきます。
脱走した瞬間を見た場合にやること
ネコさんが飛び出す瞬間を目撃したときは、思わず追いかけたくなってしまいますが、とくに「大声で名前を呼びながら追いかける」といった行動は、絶対にしてはいけません。
ネコさんがさらにパニックになり、前方へ前方へと突き進んでしまう原因になります。その結果、どんどん遠くへ走り去ってしまうおそれがあるほか、最悪のケースでは、交通事故につながりかねません。
脱走した瞬間を見たときは、追いかけたい気持ちをぐっとこらえて、ネコさんの動きを目で追い、どの方向へ行ったかなど、具体的な行動をメモしておきましょう。
もし、ネコさんが近くに見えているときは、しゃがんで目線を下げつつ、小さめの声で名前を呼んでみます。それでも戻ってこずに逃げてしまうようなら、この時点では無理には追いません。
また、家族など協力者が複数人いるときは、役割分担をすると落ち着いて動きやすくなります。
- できるだけその場から動かず、ネコさんの行き先を目で追う「見る人」
- 応援を呼ぶ、懐中電灯や捕獲用の洗濯ネットなどの持ち物を取りに行く「動く人」
というように、役割を分けて動くイメージを持つとよいでしょう。飼い主さんが慌てずに行動することが大切です。
脱走した瞬間を見ていない場合にやること
「気づいたら姿が見えない」「いつの間にかいなくなっていた」というケースで、家の中・敷地内にもいなかったときは、まず家の周辺(目安として自宅から半径200m前後)を探してみましょう。
それでも見つからない、もしくは見つかったけれど捕獲が難しいといった場合は、いったん家に戻り「ネコさんが戻ってきやすい環境づくり」や「探す体制」を整えます。
- 玄関やベランダの窓を、チェーンロックや柵を使って少しだけ開けておく
- 出ていった可能性が高い玄関・窓・ベランダなどに、ネコさんの猫砂・寝床・ブランケット、飼い主さんの服など「匂いのついたもの」を置く
ポイントは、ニオイを発信してネコさんに「帰る場所はここだよ」と伝えることと、ネコさんが戻ってきたときに家の中に入れるすき間を空けておくことです。
ニオイを発信する作戦をとる際は、雨に濡れない場所に点々と、いくつか置いておくのがコツです。
また、多頭飼いで他のネコさんがお家にいる場合は、そのコたちが逃げてしまわないようにケージの中に入れておくなどして脱走対策をしてあげてください。
そのうえで、保健所や警察、動物病院といった施設への連絡や、SNSへの投稿・迷子猫チラシの作成など、本格的に探すための準備を進めていきます。
下机さん 先日も、脱衣所にある換気口から外に出てしまったケースがありました。柔らかいゴム製の素材でできていて、ネコさんの頭ならくぐり抜けられるくらいのすき間があったんです。どこからも外に出た形跡がなくておかしいなと思ってよく見たら、その換気口のまわりにネコさんの毛がびっしりついていて……。そこから外へ抜けていた、というケースでした。
お家の中には、こうした意外な「抜け道」もありますので、換気口まわりも含めてチェックしてみてください。
このあとの見出しでは、ネコさんの探し方・捜索におすすめの時間帯・捕獲のコツ・具体的な行動について解説していきます。
脱走した猫の行動範囲と探し方
ネコさんが外に出てしまったとき、「どこまで行ってしまうんだろう」「どこを探せばいいんだろう」と不安になりますよね。
ここでは、下机さんのお話をもとに、室内飼いのネコさんがどのくらい移動しやすいか、そしてどんな場所を、どんなふうに探すと見つかりやすいかを解説していきます。
室内飼い猫が移動しやすい範囲の目安
室内飼いのネコさんが初めて脱走した場合、最初の1〜2日は自宅から半径200m以内に潜んでいることが多いといわれています。
飼いネコさんにとって、見慣れない外の世界はとっても怖い場所。勢いで飛び出しても、落ち着いてくると「とりあえずどこかに隠れよう」と考え、近くの安全な場所でじっとしているケースがよくあります。
一方で、200〜300m以上進んでしまうと、方向感覚を失って自力で戻るのが難しくなることも。大声を出して追い回すとネコさんがパニックになり、かえって遠くまで逃げてしまうおそれがあるため、その点に注意し、まずは近場から落ち着いて探しましょう。
猫が隠れやすい場所を“ネコ目線”で探す
迷子のネコさんを探すときは、「ネコさんだったらどこに隠れたいかな?」とネコ目線で考えることがポイントです。好まれやすいのは、次のような「静かで狭くて暗い場所」です。
- 車の下・エンジンルームの中
- 縁の下・床下の換気口
- ベランダのすみや室外機の裏
- 植え込みや生垣の奥
- 物置・ガレージのまわり
- 人の出入りが少ない家の庭のすみ など
以下は、ネコさんが隠れていそうなお家の写真(フリー素材)をピックアップしたものです。ネコさんがとくに好みやすい隠れ場所に、赤枠でしるしを付けているので、ぜひ参考にしてみてください。




立ったままざっと見るだけでは見つけにくいので、しゃがんで目線を低くし、すき間や影になっているところを一つずつ確認していきましょう。
下机さん ネコさんは人通りが少ない静かな場所を好みます。もし逃げた方向を目撃することができたのであれば、その方向に目ぼしい隠れ場所がないか探してみてください。
チラシを配りながら、ネコ好きさんのお宅に声をかけてみたり、「ネコ好きさんはいませんか?」と聞いて回ったりして情報収集するのも効果的です。
移動距離は猫の性格や避妊・去勢の有無で変わる
同じ迷子猫でも、ネコさんの性格や避妊・去勢の有無によって動き方の傾向が変わると考えられています。
- ビビりな子・怖がりな子 → 近くの物陰に身を潜め、ほとんど動かないことが多いタイプです。自宅周辺を、時間帯を変えながら何度も見直すことが大切です。
- 未去勢のオス・未避妊のメス(とくに発情期) → 発情期には、自宅から半径2kmほどまで移動してしまうケースもあり、1~2日では戻らないケースも少なくありません。早い段階から少し広めの範囲での聞き込み・チラシ配布を検討したいところです。
とくに避妊・去勢をしていないネコさんは、「遠くまで出かけてしまいやすい」「すぐには戻ってこない」傾向があると考えられています。心当たりがある場合は、早めに捜索範囲を広げて探してあげることをおすすめします。
脱走した猫を探すときの持ち物リスト
脱走したネコさんを探すときにあると安心な持ち物は、以下のとおりです。
- いつものフードや大好物のおやつ(見つけたときにおびき寄せる)
- 洗濯ネット(タオルなどネコさんを包めるものでもOK)
- キャリーバッグ
- 懐中電灯
- 軍手(茂みなどを掻き分けたりする際に使用)
- 配布用のチラシ(ネコさんを探しながら配布しましょう!)
まずはこのあたりを一式そろえておくと、「見つけたのに連れて帰れなかった」という事態を防ぎやすくなります。このほかにも、必要に応じて持ち物を準備してください。
脱走した猫の捜索におすすめの時間帯は?効率的な探し方

ここでは、ネコさんの生活リズムをふまえて「どの時間帯に」「どんな探し方をするのが効率的か」を整理していきます。
捜索におすすめの時間帯は深夜~明け方
ネコは夜行性の動物です。正確には夕方〜夜〜明け方にかけて活動が活発になる“薄明薄暮性(はくめいはくぼせい)”の動物で、夜中11時ごろから明け方3〜4時ごろに、家の近くまで戻ってくるケースがとても多いそうです。
ネコさんが家に戻る際は、「逃げたときと同じ玄関」「出ていった居間のサッシ」など、最初に飛び出した場所と同じところに帰ってくる傾向があります。
前の章でも触れたポイントになりますが、夜〜明け方に備えて、改めて次のような環境を整えておきましょう。
- 玄関やサッシを防犯に気をつけながら少しだけ開けておく
- その近くにベッドや猫砂、ブランケットなど“ネコさんの匂いがついたもの”を置く
- 兄弟ネコや仲良しの先住ネコがいればケージに入ってもらい、玄関近くなど外に近い場所にいてもらう(声を届けるイメージ)
- 飼い主さんの呼びかけをスマホに録音し、小さな音量で流しておく
家にいる間は、このようにして「家までは戻ってきたけれど中に入れない」と迷っているネコさんが、安心して入りやすい環境を整えておきましょう。
深夜に猫を探すときのコツは「目の反射」を見ること
深夜に外を見回る場合は、懐中電灯やスマホのライトを使った「目の反射探し」がポイントになります。
ネコさんの目には「タペタム」と呼ばれる反射板のような構造があり、ライトを当てるとキラッと光って見えるのが特徴です。

- 懐中電灯やスマホのライトを足元〜やや低めの角度から照らす
- 車の下・植え込みの奥・ブロック塀のすき間など、隠れやすい場所を中心にゆっくり光を動かす
といったイメージでくまなく探してみましょう。
なお、懐中電灯は深夜の捜索に限らず、日中であっても薄暗い場所を見る際に役に立ちます。
“迷子猫捜索アイテム”として、ネコさんを探す際には持ち歩くのがおすすめです。
日中は「隠れ場所の特定」とご近所への聞き込みを
日中は人や車の出入りも多いため、ネコさんがあまり動かず、物陰でじっとしていることが多い時間帯です。「見つけて連れ帰る」というよりも、情報集めと隠れ場所の洗い出しに向いている時間と考えるとよいかもしれません。
たとえば、こんな行動が挙げられます。
- 近所を歩きながら、物置・ガレージ・茂み・空き家の庭……など、隠れ場所になりそうなスポットを一つずつチェック
- チラシを配りながら、「外ネコさんにごはんをあげている方はいませんか?」「最近、見慣れないネコさんを見かけていませんか?」などと声をかけて情報を集める
ネコさんを直接見つけられなくても、会話のなかから「どのあたりにいるか」のヒントをもらえることがあります。
日中の時間帯は、ご近所さんや地域の“ネコ情報”を味方につける時間として上手に使っていきましょう。
自分で探すだけじゃない!迷い猫の捜索で周囲に頼る方法

脱走した愛猫の捜索は、どうしても飼い主さん一人で抱え込みがちです。しかし実際には「見つかったきっかけが、ご近所さんからの一本の電話だった」「SNSでの呼びかけで保護につながった」というケースもたくさんあります。
ここでは、「自分で探す」以外にできることとして、チラシづくり、公的機関や動物病院への連絡、SNSや掲示板の活用など、周囲の力を借りる方法をまとめます。
迷い猫チラシを作る・配るときのポイント

迷子のネコさんを捜索するうえで、チラシ(ポスター)はぜひ用意しておきたい基本アイテムです。
手渡しやポスティングに使う「配布用チラシ」と、掲示板などに貼ってもらう「ポスター」の2種類を作っておくと動きやすくなります。
チラシやポスターには、最低限、次のような情報を入れておきましょう。
- 迷子になった日時・場所(住所、近くの目印)
- いなくなった状況/最後に見かけた場所 (例:自宅窓から脱走/〇〇公園付近で目撃)
- ネコさんの基本情報(名前、性別、去勢/避妊の有無、毛色・柄、体格・体重、年齢、身体的特徴)
- ネコさんの写真(全身がわかるもの1枚+横向き・後ろ姿など特徴が伝わるもの数枚)
- 首輪の有無や特徴、マイクロチップの有無
- ネコさんの性格や注意点 (ビビり/人なつっこい/見かけても追いかけないでほしい など)
- 飼い主さんの名前(名字のみでOK)
- 飼い主さんの連絡先(携帯番号など、つながりやすい連絡先)
- 見つけた方への具体的なお願い(「追いかけずに、場所をお知らせください」など)
また、目撃情報があった場合は可能な範囲で情報を追記していきます。
追記したい情報は「目撃情報のあった日時」と「目撃された場所」です。わかる範囲でそのときの様子も記載できるとよいでしょう。
【チラシ例】
デザインに凝る必要はありません。ひと目で「迷い猫を探している」と伝わること、必要な情報が読みやすいことを意識して、シンプルにまとめましょう。
「誰の連絡先なのか」がわかれば十分ですので、本名を書くことに抵抗がある場合は、仮名や名字のみ・カタカナ表記でも構いません。住所は未記入で大丈夫です。
完成した配布用のチラシは、捜索時に持ち歩いて聞き込みをした人に手渡ししたり、ポスティングをしたりするときに使います。また、数日経っても見つかる気配がない場合は、指定した地域に郵便物を配達する配達地域指定郵便物サービスを利用して一気に配布する方法もあります。
配布する範囲は、最初は自宅から半径200~300mを目安にするとよいでしょう。
ポスターは、以下のような「人目に付きやすい場所」にお願いして貼ってもらうのがおすすめです。
- スーパー
- コンビニ
- 動物病院
- ペットショップ
- 地域の掲示板 など
掲示する範囲は、ネコさんの移動範囲の目安よりも、すこし広めのエリアを意識すると安心です。
保健所・警察・自治体・動物病院・保護団体への連絡
ネコさんが脱走して、自力の捜索だけでは見つからない場合は、なるべく早めに公的機関や専門機関にも連絡を入れておくことが大切です。
最低限、届け出をしておきたいのは次のようなところです。
- 保健所、動物愛護センター(地域によって名称は異なります)
- 近隣の交番・警察署(拾物係)
- 道路清掃を担当している清掃局(土木課、環境衛生課、国道事務所など)
管轄の保健所、都道府県警察本部は、以下のリンク先より確認できます。
保健所:厚生労働省 保健所管轄区域案内(2025年12月1日時点)
警視庁:都道府県警察本部リンク(2025年12月1日時点)
電話で迷子猫の届け出をするときは、次のような情報を伝えましょう。
- いなくなった日時と場所
- ネコさんの特徴(毛色・体格・性別・首輪の有無など)
- マイクロチップや迷子札の有無
- 飼い主さんの連絡先
あわせて、近隣の動物病院への連絡も忘れずに行っておきたいところです。
ネコさんを保護した人が、「とりあえず健康チェックを」と病院に連れてくるケースも考えられます。
受付で迷子猫チラシを渡し、「このネコさんに似たコが来院したら、ご一報いただけますか」とお願いしておくと、心強い味方になってくれるでしょう。
地域に保護猫団体やボランティアグループがある場合は、そちらにも連絡を入れておくと、「そのコ、見かけたかも」という情報が集まりやすくなります。そのほかにも、ペットショップやペット関連の施設があれば、声を掛けておくとよいでしょう。
下机さん 当団体では、保護ネコさんを譲渡する際に「もし逃がしてしまったらすぐに連絡をください」と伝えています。年間で300匹譲渡したとして、だいたい10%(年間約30匹)ぐらいは脱走の相談を受けますね。
脱走から2~3日経過してしまうと捜索が難航してしまうので、脱走に気付いた初日に連絡をいただけると大変助かります。
SNSや迷い猫掲示板の活用
X(旧Twitter)やInstagram、FacebookなどのSNSや迷い猫の掲示板なども積極的に利用しましょう。迷子情報は広まりやすいのでおすすめです。
基本的に掲載する情報は、チラシやポスターと同じですが、写真の枚数を増やしたり、動画を掲載したりすることもできます。
一方で、SNSでは情報が一気に広がるぶん、個人情報の扱いには注意が必要です。
飼い主さんのフルネームや電話番号をそのまま投稿することに抵抗がある場合は、以下のような方法をとるのもよいでしょう。
- 投稿にはネコさんの情報とエリアだけ載せる
- 連絡は「DM(ダイレクトメッセージ)でお願いします」と記載する
- 電話番号などは、やり取りの中で必要に応じて個別に伝える
下机さん インターネットの情報は本当に流れが早く、新鮮な情報が手に入りやすいので、ネコさんの捜索時にはぜひ活用してほしいです。SNSでの発信は、なるべく早めにすることが大切です。
また、「いつ・どこで見かけた」といった目撃情報があればチラシに追記するのも効果的ですが、そのたびに作り直すのは大変だと思います。そうした場合は、SNSでこまめに内容を更新していくと動きやすくなりますよ。
猫を見つけたら。捕獲のコツと捕獲後にやってほしいこと

脱走したネコさんをやっと見つけた瞬間は、ホッとして一気に駆け寄りたくなるでしょう。
しかし、ここで慌ててしまうと、ネコさんが驚いてまた逃げ出してしまい、思わぬケガにつながることもあります。大声で呼びかけたり、突然駆け寄ったりするのは絶対にやめてください。
脱走した愛猫を見つけても、すぐに捕まえようとはせず、まずは落ち着いて対応することが大切です。
ここでは、ネコさんを捕まえる際のコツと、捕獲後にしておきたいことを解説します。
猫を驚かせずに捕まえるコツ
脱走したネコさんは興奮していて、いつもより警戒心が強くなっています。ネコさんを見つけても、追いかけ回したり声を張り上げたりせず、できるだけ静かに・落ち着いて、ゆったりとした気持ちでネコさんと向き合うことが大切です。
捕まえるときの基本的な流れは、次のようなイメージです。
- まずは少し距離をとり、しゃがんで目線を低くする
- いつも食べているごはんやおやつを静かに差し出し、「安心して近づける」雰囲気を作る
- 食べ始めて落ち着いてきたタイミングで、そっと洗濯ネットをかぶせる
- ネットに入った状態のまま、キャリーバッグにすべり込ませてファスナーや扉を閉める
姿は見えるのにどうしても近寄れない、掴もうとすると毎回逃げてしまう……という場合は、捕獲器の利用が効果的です。保健所や動物愛護センター、保護団体、動物病院で貸し出しているところもあります。
捕獲器については、記事後半の「数日経っても見つからないとき」の章で、基本的な使い方と注意点をまとめています。
捕獲できたら猫の体調チェック&受診を
ネコさんを無事に保護できたら、まずは静かな部屋で落ち着ける環境を整えてあげましょう。
キャリーごと安全な部屋に置き、周りの音や人の出入りをできるだけ少なくしてあげるのがポイントです。
そのうえで、次のような点をチェックしていきます。
- 目立つ外傷がないか
- 体が極端に痩せていないか、脱水していないか(皮膚をつまんだときの戻り方などで確認)
- 呼吸が苦しそうでないか、ぐったりしていないか など
食事とお水は、いきなりたくさん与えないことが大切です。とくに、何日もごはんを食べていなかった可能性がある場合は、体に負担がかかるおそれがあるため、まずは少量ずつ様子を見ながら与えましょう。
また、見た目に大きなケガがなくても、外からはわかりにくいトラブルが隠れていることがあります。
- 脱水や低血糖
- ノミ・ダニ、消化管の寄生虫
- 喧嘩による噛み傷(あとから膿んでくることも)
できるだけ早めに動物病院を受診して、全身状態をチェックしてもらうと安心です。
情報提供者への連絡なども忘れずに
ネコさんを無事に保護できたら、迷子の届け出先や問い合わせた動物病院などに見つかったことをできるだけ早く知らせましょう。ポスターの掲示をお願いした施設がある場合は、お礼とあわせて掲示物の回収も忘れずに行なってください。
また、SNSなどに投稿した場合にも「見つかりました」の一報をしましょう。
目撃情報をくれた方や、実際に保護のきっかけを作ってくれた方がいる場合は、可能な範囲で謝礼ができるとよいでしょう。
猫の脱走から数日経っても見つからないときに試したいこと
1〜2日、しっかり探してもネコさんが見つからないと、心配や不安がどんどん大きくなってしまうでしょう。それでも、実際には「数日〜数週間たってから見つかった」というケースも少なくありません。
ここから先は、「実は家の近くまで戻ってきている」「姿は見せないけれど、夜だけごはんを食べに来ている」といった可能性も視野に入れながら、できることを一つずつ増やしていきましょう。
「帰ってきているけど入れない」ケースを想定
脱走したネコさんの中には、夜になると家の近くまで戻ってきているのに、怖くて中に入れない……という子もいます。
そんなときに役立つのが、玄関先などの屋外に仕掛ける「トレイルカメラ(動体センサー付きの自動撮影カメラ)」です。
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https://www.amazon.co.jp/dp/B0CQZJD7TM/
たとえば、次のような場所に設置します。
- 玄関の前や、出入りに使っていそうな勝手口付近
- これまでの捜索で「隠れていそう」と感じた物置・茂み・駐車場のすみ
- 夜だけごはんを置いている場所 など
カメラを向けたい位置にごはんやお水を置き、夜〜明け方にかけて通りかかるネコさんの姿を記録するイメージです。
映像を見返すことで、自分のネコさんが夜だけ来ていないか、またごはんの減りから「うちのコが来ている」と思ったら実はほかのネコさんだった……ということがないかなどを確認できます。
もし「毎晩、似たネコさんが来ている」ことがわかれば、捕獲器を置く場所やごはんを出す時間帯を絞り込む材料にもなります。
「ネコさんが戻ってきている気配があるかどうか」を客観的に知るための道具として、上手に活用していきましょう。
捕獲器を使うときの基本と注意点
「姿はカメラに写るのに、近づくと逃げてしまう」「人を見るとパニックになってしまう」というように、人の手で捕まえるのが難しいときは、捕獲器の出番です。
捕獲器を用意するとき
捕獲器は、ホームセンターや通販などで市販されているものもあれば、以下のような施設で貸出をおこなっていることもあります。
- 保健所・動物愛護センター
- 地域の保護団体・ボランティアグループ
- 協力してくれる動物病院
貸し出してもらう場合は使い方の説明をよく聞き、「どこに・いつ置くのが良さそうか」といったことを相談しながら進められると安心です。
設置場所のポイント
捕獲器を置くときは、次のような点に気をつけましょう。
- 人通りや車の往来が少ない、静かな場所に置く
- 雨風をしのげるよう、軒下や屋根のある場所に置く
- 道路沿いや、誰かが足を引っかけそうな場所は避ける
他人の敷地に置く場合は、必ず事前に許可を取り、簡単な貼り紙をしておくのがマナーです。
- 迷いネコの保護目的で捕獲器を設置しています
- 勝手に持ち出さないでください
- 保護されていた場合、ご連絡ください
- 連絡先
また、他人の目の触れるところに置くと、虐待と誤解されてしまうことや、捕まったネコさんの姿を見た人がショックを受けてしまうこともあるでしょう。
自分の敷地に仕掛ける場合であっても目隠しをするように置くなど、周囲への配慮が大切です。
捕獲器を使う際の注意点
捕獲器を設置したときは、必ずこまめに見回り、長時間入れっぱなしにならないように注意しましょう。
また、場合によっては違うネコさんや他の動物が入ることもあります。もし違うコを捕獲してしまった場合は、やさしい声掛けで「ごめんね」と言い、安全に解放してあげてください。一度かかったネコさんが再度入ることはほとんどありません。
捕獲器は「どうしても人の手では保護が難しいネコさん」を助けるための道具です。
ネコさんに必要以上の怖い思いをさせないこと、そして周囲の方とのトラブルを避けることを意識しながら、マナーと安全面に配慮して使っていきましょう。
下机さん 捕獲の際に効果的な食べ物は「ニオイが強いもの」です。普段なら食べさせませんが、このときばかりは唐揚げや焼いたホタテなどの“おいしいニオイのするもの”を使うことが多いです。ちなみに、焼き魚などいろいろ試してみたところ、なかでも一番効果があったのはローソンの『からあげクン』でした。
お腹がすいているネコさんにとっては、ニオイのある食べ物がうれしいようです。
再び脱走させないために。猫の脱走防止策と迷子対策
ネコさんを探すコツを知っておくことも大事ですが、いちばんは「脱走させない工夫」をしておくことが何よりの安心につながります。
そして、万が一のときにもネコさんが無事におうちに帰ってこられるように「迷子対策」をしておくことも大切です。
ここでは、日ごろからできる脱走防止策と、いざというときのための迷子対策についてまとめます。
玄関・窓・ベランダの脱走防止策
ネコさんの脱走経路のトップ3は、玄関・窓・ベランダです。
共通する考え方は、「人の出入りや換気はそのままに、ネコさんだけを止める“二重の壁”をつくること」です。
玄関
玄関は、二重扉にしてしまうイメージで対策します。
出入りの動線上に脱走防止用の柵をつけておけば、「うっかり開けた瞬間に飛び出される」事故を減らせます。
市販の専用柵もありますが、コストを抑えたい場合は、100円ショップのワイヤーネットと結束バンドで簡易的な柵を自作することもできます。
あわせて、来客に対してネコさんの存在を知らせるステッカーを貼っておくと、ドアの開閉に注意してもらいやすくなります。
nekozuki では「ドアネコ」というステッカーも用意しています。シンプルなイラストがおしゃれで可愛いと人気の商品です!

窓
窓からの脱走は、以下のようなパターンが多いといわれています。
- 飼い主さんの「開けっぱなし」
- ネコさんが網戸やサッシを自力で開ける
- 網戸を破って外に出てしまう
次の方法で脱走対策をしましょう。
- サッシ用のロックをつけ、ネコさんが自力で開けられないようにする
- 破れにくいペット用網戸に張り替える(自分で張り替えればコストも抑えやすい)
ベランダ
ベランダからの脱走防止は、「窓側でネコさんを止める」発想が基本です。
マンションなどではベランダの柵は共用部分のため、加工できないことも多く、安全面からもおすすめできません。
- ベランダに通じるサッシの内側に、床から天井まで届く脱走防止柵を設置する
- できるだけ縦格子+横棒がないデザインにする(横棒は足場になってよじ登られやすいため)
- ネコさんの体が通り抜けられそうなすき間を作らない
といった点を意識し、「窓を開けてもネコさんだけは外に出られない」構造をつくりましょう。
迷子対策には首輪やマイクロチップの装着を
ネコさんが脱走した際にお家に戻れる可能性を少しでも高めるためには、迷子札やマイクロチップの装着をおすすめします。
迷子札は首輪につけるタイプが一般的ですが、「名入れ付きねこともカラー・プラス」のように、ネコさんの名前と電話番号が首輪に刺繍されたタイプがおすすめです。

また、マイクロチップを装着することも迷子対策としては有効です。脱走時だけでなく災害時にも役に立ちます。迷子札のように脱落の危険性がないのがいちばんのメリットです。
マイクロチップは、2022年6月より装着が義務化されましたが、対象はペットショップやブリーダーなどの販売業者のみです。すでに、飼っているネコさんや販売業者以外から迎える場合は装着の義務はありません。希望する場合は動物病院で装着します。
下机さん マイクロチップは読み取り機がなければ即保護にはつながらないので、やはり首輪との併用をおすすめしています。
近年はかわいい首輪をしたネコさんも多く、首輪があると飼いネコであることはわかるのですが、それだけではいざ迷子になったときにあまり役には立ちません。
大切なのは、飼い主につながる電話番号が書かれていることです。万一に備え、ぜひ検討してほしいと思います。
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軽くて柔らかいから着けているのを忘れてしまうくらい心地が良い首輪。迷子防止に「ねこともカラー(首輪)」に直接、名前と電話番号を刺繍できます。カラー展開も豊富。
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脱走対策には避妊・去勢手術も効果的
ネコさんが脱走するのは春から夏にかけてが多いといわれています。窓を開ける機会が増えるからというのもありますが、ネコさんにとっては恋の季節、いわゆる「発情期」でもあります。
避妊・去勢手術をしていないネコさんは発情期になると、相手を探すためにお出かけしたくなります。本能による行動なので、しつけでなんとかなるものではありません。発情期に由来する脱走を防ぐには、避妊・去勢手術をすることが大切です。
繁殖を望まないのであれば、避妊・去勢手術を検討しましょう。
脱走した猫の捜索Q&A
最後に、脱走したネコさんの捜索に関して、飼い主さんからよく寄せられるギモンを、動物愛護団体「動物いのちの会いわて」の代表・下机都美子さんに伺いました。

下机 都美子さん
岩手県雫石町を拠点に、犬や猫の保護・譲渡活動、地域猫活動などを行う「動物いのちの会いわて」(2000年発足)代表。脱走したネコさんの捜索活動も数多く行なってきました。
Q1.ネコさんには帰巣本能があると聞きました。探さなくても、そのうち自分で帰ってきますか?
下机さん たしかに、ネコさんにも帰巣本能があるといわれています。実際に、数日後に家に戻ってくるケースもあります。しかし、それは「探さなくてよい」という意味ではありません。
脱走したネコさんのなかには、「家まで戻ってくるけど、中に入れない」というコが非常に多いです。これには、玄関や窓が閉まっていて物理的に入れないケースと、ネコさんの“戻る勇気”がなくて戻れないケースの2パターンがあります。
「帰りたいけど帰れない」ということはよくあるので、そういった意味でも飼い主さんがネコさんを探してあげること、ネコさんが戻ってきやすい環境をつくってあげることが大切です。
脱走したネコさんがいつでもお家に戻れるように、“手を差し伸べ続ける”イメージでいていただけたらと思います。
Q2.家の中にいる気がするけれど、姿が見えません。どのくらい様子を見ればいいですか?
下机さん まずは「本当に外に出たのかどうか」を、1〜2日かけてしっかり確認してあげてください。
「いなくなった=外に出た」と決めつけてしまう方は多いのですが、実際には“ずっと家の中にいた”というケースを何度も見てきました。ですから、外に探しに出る前に、中にいるかどうかの確定をすることがとても大事なんです。
家じゅうのドア(部屋・トイレ・クローゼットなど)を全部開けたうえで、どこからでも来られる家の真ん中あたりにネコさんの好物を置いて、一晩様子をみます。
朝になってごはんが減っていれば「家の中にいるサイン」です。なお、このときは外に通じるドアは開けないように気を付けてくださいね。
すごく臆病なコや迎えたばかりのコは、呼んでも出てこないことが多いので、1日で出てこなくても、2日くらいは“中にいるかもしれない”前提で見てあげてほしいと思います。
Q3.ネコさんは飼い主を悲しませないよう、死ぬ間際に姿を見せなくなると聞いたことがあります。本当でしょうか?
下机さん 昔からよく聞く言い伝えではありますが科学的な根拠はなく、「探さなくていい」という理由にはなりません。
たしかに、体調が悪くなると静かな場所に身を隠すネコさんは多く、結果として外へ出て縁側の下などに隠れてしまうことはあるでしょう。
まだ動けるうちに見つけて、病院へ連れていってあげるのが賢明な判断だと思います。
Q4.脱走したネコさんを捕まえるための“プロ目線のコツ”はありますか?
下机さん 人目のつかないところに隠れていることはよくあるので、そういった場所を中心に目を光らせています。
たとえばチラシを配りながら、物置や植え込みなどのネコさんの隠れ場所が多いお家や猫好きそうなお家を探して、「ここにいそうだな」という“あたり”をつけます。
そして、目ぼしいお家があったらカメラを取り付けさせてもらったり、捕獲器を置かせてもらったりすると、捕獲の確率がぐっと上がります。
逆に、外にイヌさんがいるお家や、人通りが多く落ち着いて隠れにくい場所には、ネコさんがあまり寄りつかない傾向があります。
手当たり次第に探すよりも、ネコさんの立場に立って“ここならいそう”という場所を見極めることが、効率よく見つけるためのコツだと思います。
Q5.脱走から1ヶ月以上経ってしまったら、もう諦めた方がいいのでしょうか……。
下机さん 結論からいうと、「諦めなければならない期限」というものはありません。
私たちの団体に相談に来た方のなかには数ヶ月後、なかには1年以上経ってから見つかったこともあります。
ただ、時間が経つほど、見つかりづらくなるのも事実です。脱走したことに気付いたらすぐに、できることから始めてください。
飼い主さんが諦めずに探し続けることで、周囲の方の協力も得やすくなると感じています。
“細く長くアンテナを張り続けること”が、時間が経ってからの再会につながることもあります。心のどこかで、いつでも情報を受け取れる状態にしておいていただけたらと思います。
まとめ|猫が脱走したら。大切なのは「諦めないこと」
無事に帰ってくるネコさんの多くは1週間以内に帰宅しているとのこと。一方で、数週間後、数ヶ月後に無事に帰ってくるネコさんもいます。
時間が経ってから帰ってくるネコさんの多くは、飼い主さんが諦めずに探しているケースが多いです。
この記事でお伝えしてきたように、まずは「本当に外に出たのかどうか」を落ち着いて確認し、家の近くをていねいに探すこと。あわせて、チラシ・公的機関・動物病院・SNSなど、周囲の力も借りながら「ネコさんが戻ってきやすい環境」と「情報のアンテナ」を整えていくことが大切です。
探し方のコツはいろいろありますが、いちばんのコツはやはり「諦めないこと」「帰ってくると信じること」です。
自分だけでなんとかしようとせず、周囲の力も借りながら、ネコさんがおうちに戻れるその日まで、できることを続けていきましょう。











