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ネコさんが急にごはんを食べなくなったので心配


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高齢のネコさんがごはんを食べない原因って?


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老猫にごはんを食べてもらう方法を知りたいな

老猫がごはんを食べないとお悩みの飼い主さんも多いのではないでしょうか?

老猫がごはんを食べない原因には病気もありますが、加齢で食欲が落ちている可能性もあります。

今回は老猫がごはんを食べない原因と対策についてご紹介していきます。

老猫がごはんを食べない原因は?

キャットフードと長毛の猫

ネコさんも人間と同様に歳をとるとさまざまな老化現象がおこります。そのひとつに食欲の変化があります。

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食欲の変化といっても原因はいろいろで、加齢によるものもあれば、病気が原因になることもあります。

それでは具体的にはどのようなことがあるのか、詳しく見ていきましょう。

基礎代謝の低下

ネコさんも歳をとると次第に基礎代謝が低下していきます。それに伴い、食欲が落ちていくのが一般的です。

基礎代謝とは、呼吸や心臓を動かしたり、体温維持など生きていくうえで必要な生命活動を維持するための代謝のことです。

基礎代謝が減ると体が必要とするエネルギーが減るため、多くの食事を必要としなくなります。その結果、自然と食事の量が減っていくのです。

ストレス

ストレスも食欲不振の原因になります。ネコさんはとても繊細なので、飼い主さんにとっては、何でもないことでも大きなストレスになることがあるのです。

  • 部屋の模様替えをした
  • 引っ越しをした
  • 動物病院に行った
  • トイレや爪とぎが気に入らない
  • 香水などのきついにおい

もし、思い当たることがあるならば、ストレスが原因かもしれません。原因と思われることをなるべく排除するようにしましょう。

関連記事:猫はストレスで寿命が短くなる?ストレスサインと適切な対処法を知ろう

鼻水、鼻詰まり、嗅覚の低下

ネコさんの食欲には、においが大きく影響します。そのため、鼻詰まりなどでにおいがわかりにくくなると、同時に食欲も落ちてしまうのです。

鼻詰まりの原因として呼吸器系の疾患が影響している可能性もあるため、呼吸が苦しそうなどほかの症状が見られる場合は、動物病院を受診しましょう。

口腔内のトラブル

ネコさんの食欲不振では口内炎や歯周病といった口腔内のトラブルが原因になることもあります。

口内炎は、口の中の粘膜が炎症を起こしている状態の総称です。食欲不振や口元を気にする、よだれ、口臭、毛づくろいが減るといった症状が見られます。

老猫の食欲不振の原因の多くは、強い痛みを伴う「潰瘍性口内炎」です。潰瘍性口内炎は何が原因なのかはっきりしたところは分かっていません。

また、歯周病になると歯茎や骨に炎症が起こるため、歯茎からの出血や歯がぐらぐらする、歯が長くなったように見える、食べるのが遅いといった症状が見られます。

口内炎も歯周病も予防には歯磨きが有功です。口内環境の乱れはさまざまな病気の原因にもなると言われています。

その他の病気

食欲不振の原因になる病気はたくさんありますが、その中でも高齢のネコさんが注意してほしいのが「慢性腎不全」と「糖尿病」です。

慢性腎不全の初期症状では水をたくさん飲む「多飲」やおしっこの量が増える「多尿」が主な症状です。症状が進行すると次第に食欲不振、嘔吐、下痢、体重減少といった症状が見られるようになります。

糖尿病も症状が進行することで、徐々に食欲が衰えていきます。

老猫がごはんを食べないときの注意点

寝ている猫

老猫が急にご飯を食べなくなったときに注意しなければいけないのが、病気による食欲不振です。ごはんを食べない以外に嘔吐、下痢などのほかの症状が見られる場合は早急に受診するようにしましょう。

食欲不振以外に目立った症状がなくても24時間以上に渡ってごはんを食べない場合も受診をしてください。健康な猫であれば、24時間もごはんを食べないということは考えられません。

また、24時間以上の絶食は、肝リピドーシスの危険性があるといわれています。

肝リピドーシスとは、栄養不足により急激に肝臓に脂肪が蓄積されて肝機能が阻害される病気です。いわゆる「脂肪肝」です。

肝リピドーシスは、治療が遅れると死に至る危険性もあるため、ネコさんの食欲不振は侮れないのです。

老猫にごはんを食べてもらうための工夫

ごはんを前にした猫

食欲のないネコさんにごはんを食べてもらうためにはどうしたら良いのでしょうか?

ここでは、なるべく簡単にできる対策や注意点も含めてご紹介していきます。

ごはんをあたためる

ネコさんは食べるか食べないかをにおいで判断します。そこで、試してほしいのが、ごはんを温めることです。嗅覚が衰えてきた老猫は、ごはんをあたためて香りを立たせることで、食べてくれることがあります。

温め方は、ドライフードはお湯でふやかす、温めたウェットフードと混ぜるといった方法があります。

ウェットフードは、電子レンジで温める方法と湯銭で温める方法があります。電子レンジは温めムラが出やすいので、湯煎の方がおすすめです。

ごはんをふやかす

高齢のネコさんは固いものを食べるのが苦手な子もいます。そんなネコさんにドライフードを食べてもらうには、ふやかして柔らかくします。水分補給もできるのでおすすめの方法です。

ふやかし方

ドライフードと同量くらいのぬるま湯(40度前後)を入れて15分ほど放置します。指で簡単に潰れるくらいになれば完成。放置する時間はフードにもよりますので調整してください。

水分が残っている場合は、栄養素が溶け出しているので、捨てずにそのまま与えましょう。

トッピングをする

いまいち食欲のわかないネコさんには、好物をトッピングしてあげるのもおすすめです。

トッピングはお気に入りのおやつ、ささみ、鰹節、鶏肉の茹で汁など愛猫が大好きなもので構いません。ただし、茹で汁は味付けをしていないものにしてください。

療法食を食べている、食事制限があるといった場合は獣医師に相談してから与えるようにしましょう。

ウェットフードをあたえる

硬いものが苦手、ドライフードを食べてくれないというネコさんはウェットフードを試してみましょう。

ウェットフードはそのまま与えるのではなく、人肌くらいに温めてあげると香りが立って食欲が刺激されます。

ウェットフードはおかず的な位置付けの「一般食」が多いので注意が必要です。数は多くありませんが、主食として与えることができる「総合栄養食」もありますので、かならずそちらを選ぶようにしてください。

愛猫にあった食器を使う

ネコさんにあった食器がどういうものかご存知ですか?実はネコさんの食欲にも影響をあたえます。

  • 適度な高さがある
  • 食器にヒゲが触れない
  • 素材が好みの素材である

10歳以上のネコさんでは、6割以上が関節炎を患っているといいます。そうなると足を曲げたり頭を低くした姿勢でごはんを食べるのは負担になると考えられています。

そこで、活躍するのが高さのある脚付きの食器や食器を載せる台です。食器の高さは、5〜8cmくらいが理想とされています。しかし、ネコさんの体格などにもよって食べやすい高さが異なるので、様子を見ながら調節してあげるのが良いでしょう。

高さのある食器は吐き戻しにも効果があるのでおすすめです。

弊社で扱っている「まんま台」と「まんまボウル」もおすすめです。

まんまボウルと猫

参考:まんま台(食器台) まんまボウル

そのほかにも、食事中にヒゲが食器に触れるのを嫌うネコさんもいます。そういった、ネコさんには顔よりもひと回り大きなサイズ、深さが3〜5cm程度の食器を選びましょう。

ネコさんにとってヒゲはとても敏感なので、常にどこかに触れて刺激にさらされるとストレスを感じます。これを「ヒゲ疲れ」と呼ぶこともあります。

強制給餌が必要になることも

いろいろと対策をしてもごはんを食べてくれない。そんなときは、最終手段として強制給餌があります。

強制給餌とは、自分でご飯を食べられなくなったときに強制的に食事をあたえる方法です。

自力でご飯が食べられないネコさんのほかにも、ほとんど食事ができないネコさんに不足している栄養素を補うためにおこないます。

強制給餌をきっかけに食欲が戻る場合もありますが、老猫の場合はずっと強制給餌になってしまうことも少なからずあります。

強制給餌は毎日のことですから、ネコさんにも、飼い主さんにも負担になります。おこなうかどうかは、獣医師とよく相談をして決めましょう。

老猫にあったごはんとは?

さて、ここまで老猫がごはんを食べない原因や食べさせる方法についてご紹介してきました。最後に、老猫にとって良いごはんについて考えてみましょう。

老猫におすすめのキャットフード
  • 良質な動物性タンパクが豊富
  • 脂肪とエネルギーが控えめ
  • 炭水化物の量が少ない
  • 合成添加物が含まれていない
  • 老猫用(シニア)フード

老猫は食欲が落ちてくるので、少量でもしっかりとエネルギーを摂取できるように良質なタンパク質が必要です。肉や魚が豊富で、タンパク質30%前後のフードがおすすめです。

運動量が落ちてきたネコさんは脂肪とエネルギーが多すぎるものは避けるのが無難です。

また、炭水化物が多すぎると胃腸の負担になることもあるため、なるべく少ないもの(35%程度まで)を選びましょう。

炭水化物は記載がないのが一般的ですが、以下の方法で求めることができます。

 

炭水化物の計算式

炭水化物=100−水分-タンパク質-脂質-繊維-粗灰分

 

また、全年齢用のフードもありますが、老猫にはタンパク質や脂肪、カロリーなどが高すぎることも少なくありません。特別な理由がなければ、老猫用のフードが無難です。

以上は、健康なネコさん向けのお話です。食事制限が必要なネコさんは、獣医師に相談するようにしてください。

食欲のない愛猫のためにできること

高齢でごはんを食べないネコさんのためにできることは、少量でもしっかりと栄養が摂取できるごはんを選ぶこと。そして、食欲を刺激するための工夫をすることです。

  • ごはんをあたためる
  • ごはんをふやかす
  • トッピングをする
  • ウェットフードを与える
  • 愛猫にあった食器を使う

どれもすぐに対応できることばかりですから、ぜひ参考にしてくださいね。

もし、これらの工夫をしても食べてくれない、24時間以上ごはんを口にしていないというときは、迷わず獣医師に相談しましょう。