この記事の目次
フェザーカラーの開発から生まれた、新たな気づき
「ネコ目線のモノづくり」でネコを幸せに!nekozuki代表のフトノです。
私が初めて開発したのは、術後のネコさんが傷口をなめないようにするための保護具「フェザーカラー」です。
ふわっと軽く、ストレスの少ない着け心地を目指して作ったこの商品は、闘病中の多くのネコさんにご愛用いただいております。

販売後、たくさんの感想が寄せられた中で、多かったのがこんなお悩みです。

フェザーカラーをつけたままだと、ごはんやお水がうまく飲めなくて困っています
ネコさんだけのお留守番中にお水が飲めなかったら…ネコさんが脱水になったら大変です。
私は、“フェザーカラーをつけたままでも快適に飲食できる食器”を作ろうと決意しました。
ネコ社員・ちゃっくんが教えてくれた「優しい手」
さっそく、ネコ社員の「ちゃっくん」にフェザーカラー生活をしてもらい、様子をじっくり観察。無理をさせず、ちゃっくんの気分や体調を最優先にしながら慎重に取り組みました。

すると、器の縁にカラーが当たり、うまく食べられない様子がはっきりとわかりました。
私は無意識のうちに、器をそっと両手で傾けて、「どう?こうすると食べやすい?」と、ちゃっくんをサポートしていました。
そのときふと思いました。

この“飼い主の優しい手”を、そのまま食器で再現できたらいいのに
岩手の職人さんとの出会い。素材は“磁器”
アイデアは浮かんだものの、問題は「誰に作ってもらうか」。
そんなとき、偶然にも同じイベントで出展されていた岩手の職人さんと出会いました。職人さんが手がけていたのは、磁器を使った作陶。
磁器は薬瓶などにも使われるほど気密性が高く、薬が染み込まず衛生的。私は前職、医療従事者の方と一緒に仕事をしていた経験から、素材としての磁器の特性を知っており、「これは理想的だ」と感じました。

そして何よりも――
職人さん自身も、体の不自由なネコさんと暮らしていたのです。

わかります、その気持ち
そのひと言で、良い商品ができるに違いないと感じました。
30以上の試作。ネコからの“お願い”として
こうして「飼い主の手の代わりになる食器」を再現するための試作がスタート。
器に足をつけてみたり、段差をつけたり、斜めにしてみたり…ネコ社員たちに何度も試してもらいながら、30以上の試作を重ねていきました。
商品開発の様子
試作の様子を一部ご紹介いたします。





でも、なかなか理想のかたちにはたどりつかず、ネコ社員「ちゃっくん」、「ぽんちゃん」に使用感を確認してもらいながら何度も試作を繰り返し、気がつけば2年経過しておりました。
途中、職人さんから電話がかかってくるたびに「もしかして、もう断られるかも…」と不安になる日もありました。
それでも試作に何度も付き合ってくれた職人さん。
きっと、私からのお願いだからではなく、動画で試作を使うネコさんたちの姿を見て、感じてくださったのだと思います。
これは“ネコからのお願い”と感じてくれたからだと感謝しております。
「それは非常識です」から始まった、逆転の発想
ある日、私は気づきました。

外から器を傾けるのではなく、中を傾ければいいんじゃない?
そのアイデアを職人さんに伝えると、少し戸惑ったような表情でこう言われました。

…でも、それは食器としては非常識で。 普通の食器と比べてバランスも悪くなりますし、成形も難しい。
たしかにその通り。
わたしもお店で見かける食器のほとんどは“水平であること”が常識のようで、内部に傾斜をつけるなんて設計は前代未聞。そして技術的にも難易度が高い挑戦でした。
でも私は、ちゃっくんの姿と、試作の動画に映るネコさんたちの姿を思い出して伝えました。

きっとネコさんたちが、これを必要としてるんです
それを聞いた職人さんは、しばらく考えてから、こう言ってくださいました。

よし、やってみましょう。
優しい手の形をした食器、ついに完成

- 内部に傾斜をつけ、フードが中央に自然と集まる構造
→ フードが自然に真ん中にあつまるから、ストレスなく食べられます。 - 手前を低くして顔を入れやすく
→ 首や肩に負担をかけず、体が不自由なネコさんでも楽に食事ができます。 - 縁に“返し”をつけて食べこぼしをガード
→ フードが器の外にこぼれにくくなり、落ち着いて食事ができます。
こうしてようやく、「飼い主の優しい手」を食器で再現することができました。

内部の傾斜でフードが真ん中に自然に集まる
食器に返しがついているから防壁の役割を果たし、食事中の食べこぼしを防止
手前が低いから顔が入れやすい
ちゃっくんが教えてくれた、完成のサイン

すっと顔を器に入れて、ごはんを美味しそうに食べてくれたあの瞬間。

あぁ、やっと“その手”になれたんだ。
そう感じたのです。
商品名をママ(飼い主)と、岩手の方言の「まんま(ごはんという意味)」から「まんまボウル」と名付けました。
\ 猫さんの食器はこちらがオススメ /

まんまボウル ごはん用 M
「斜め」だから最後のヒトクチまで食べやすい。「食べこぼし・食べ残しが減った」とシニア猫、鼻ぺちゃ猫さんにも好評。日本製、磁器製で傷がつきにくく衛生的。
詳細はこちら
まんまボウルは2015年グッドデザイン賞を受賞

商品の概要
術後、闘病中など体の不自由な猫のための介護用食器です。
手前を低く、返し付の斜め形状にすることで体の不自由な猫の食事のストレスを減らしました。
食器の手前が低いので顔を入れやすく、最小限の負担で食事をすることが出来ます。
食器の縁に返しをつけたことで防壁のような役目を果たし、お皿の外にフードをこぼす危険性を減らしました。
食器の内部に傾斜をつけたことで食器の中心部にフードが自然に集まり、ストレス無く食事が出来ます。
体の不自由な猫も食べやすい形状の食器を作りました。
審査員の評価コメント
猫の行為を観察し、ひとつひとつ問題を解決していった素直で誠実なデザインであることを評価した。
まとめ|ネコの声なき声が、新しいカタチを生む
まんまボウルは、ネコ社員と職人さんの協力のもと、闘病中のネコさんが食べやすい食器の機能を追求し誕生した、ネコさんと飼い主の「あったらいいな」を丁寧に形にした、ネコ目線でネコに優しい食器です。

『食器を少し傾け両手で支える飼い主の優しい手』を再現しました。
そして何よりも――
「ネコさんの声なき声」に気づくことが、ものづくりの原点だと、改めて教えてくれました。これからも、ネコさんと一緒に生きる“人”として、
ネコさんへのやさしさを形にしていきたいと思います。
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まんまボウル ごはん用 M
「斜め」だから最後のヒトクチまで食べやすい。「食べこぼし・食べ残しが減った」とシニア猫、鼻ぺちゃ猫さんにも好評。日本製、磁器製で傷がつきにくく衛生的。
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「ごはんの食べ残し」でお困りの方へ。最後のヒトクチまで食べやすい猫専用食器
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