「うちのネコさんは水道水を飲まない。ミネラルウォーターをあげているけど大丈夫かな?」
「水の成分が原因で病気になることがあると聞いた。本当なの?」
ネコさんに与える水分は水道水がいいのか、はたまたミネラルウォーターがいいのか。たびたび議論されています。
実は、水道水かミネラルウォーターかといった水の種類にかかわらず、水に含まれる成分に注意しなければいけないことをご存じでしょうか?
今回は、ネコさんにとって最適な水の種類について、注意したい成分や選び方などをご紹介します。
- ネコさんに適した水分について知りたい!
- 水分の選び方でどんな病気になるのか知りたい!
- 病気になったときどうしたらいいのか知りたい!
- 水質の調べ方や水を飲ませる工夫などが知りたい!
この記事の目次
猫にとって重要な「水分補給」
うちのネコさんはあまり水分をとろうとしない…
水の成分うんぬん以前に、このようなお悩みを持つ飼い主さんもいらっしゃるのではないでしょうか。
あまり飲まないので、与える水の質や成分については深く考えたことがないという飼い主さんも多いかもしれませんね。
実はネコさんは、喉の渇きを感じにくい体質なのです。しかし水分不足になってしまうと病気を引き起こす可能性が高まり、危険です。
以下、詳しく解説していきます。
猫の祖先と水分補給の関係性
ペットとして飼われているイエネコの祖先は、リビアヤマネコだと言われています。
リビアヤマネコはもともと砂漠地帯に生息していた生き物です。あまり水分をとらなくても生きていけるように、腎臓の機能が発達していったと考えられています。
祖先・リビアヤマネコの体質を受け継いでいるため、積極的に水分をとろうとはしないネコさんが多いのかもしれません。
水分不足が病気につながる
「水を飲みたがらないから、あげなくてもよい」ということでは決してありません。
水分不足が腎臓病などにつながるリスクを持ちあわせているからです。
水分をとらずにいると濃いおしっこが出てきます。しかし濃縮されたおしっこを排出するために、腎臓に大きな負担がかかる仕組みになっているのです。
さらに、水分不足が原因で尿石ができてしまうこともあります。
水分不足は「猫下部尿路疾患(FLUTD)」に分類される「膀胱炎」や「尿石症」、または「慢性腎不全」といった泌尿器系の疾患が懸念されるため注意が必要です。
ネコさんが1日に必要な水分は、体重1kgに対して約30~50mlと言われています。
環境省のデータによると、体重3kgのネコさんの場合、1日あたりおよそ190ml(※)の水分が必要になるとのことです。
※参考:環境省「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」より
- ネコさんは水分不足になりやすい生き物
- しかし水分不足はさまざまな泌尿器疾患の原因につながる
- 体重3kgのネコさんなら1日あたり190mlを目安に水分を摂取しよう!
知っておきたい「水の成分」について
ここまで、水分不足が泌尿器系疾患につながる恐れがあることに言及してきました。
さらに水の成分そのものが、ネコさんの健康に影響を与える恐れがあることをご存じでしょうか?
体の小さなネコさんですから、1日あたりたった数100ml程度の摂取量であっても、日々の積み重ねで少しずつ体調に影響してしまう可能性は否めません。
ここではネコさんに水を与える際に必ずチェックしておきたい成分について見ていきましょう。
硬度
ミネラルウォーターにおいて「軟水」「硬水」といった水の種類を耳にしたことがあるかと思います。水道水にも地域によって軟水・硬水の違いがありますが、日本の水道水の多くは軟水であると言われています。
水1リットルあたりに含まれるカルシウムとマグネシウムの量を表しているのが「硬度」です。
硬度の計算方法は国によって異なりますが、日本ではカルシウムイオンとマグネシウムイオンを、炭酸カルシウム量に換算して硬度が算出されています。
WHO(世界保健機関)が定義している軟水・硬水の分類は以下のとおりです。
60 mg/L以下の水:軟水
60~120 mg/Lの水:中硬水
120~180 mg/Lの水:硬水
180 mg/L 以上の水:超硬水
ネコさんにとって、ミネラル分の過剰摂取は尿路結石など、泌尿器系の疾患につながるリスクがあります。ネコさんに与える水は、なるべく硬度の低い軟水(60mg/L以下の水)を選びましょう。
猫の尿路結石予防のためにできることは?食事や生活環境に加え、水に含まれるミネラル分にも注意したいものです。本記事では猫の尿路結石予防の観点から、日本の水道水に含まれるミネラル分について専門家に取材しました。
pH値
水質において、もうひとつ注意してほしいのは「pH(ペーハー)値」です。
pHとは、水中に溶け込んだ水素イオンの濃度のこと。1~14までの数値があり、数値によって以下のように分類されています。
pH7:中性
pH1~pH7:酸性
pH7~pH14:アルカリ性
ネコさんはおしっこがアルカリ性に偏っても、酸性に偏っても尿石ができやすいため、pH値が中性に近い水を選んだ方が安心です。
ミネラル含有量
硬度の部分でもお話したとおり、ミネラルの過剰摂取は泌尿器系疾患の原因になりかねません。
市販の水の中には、ミネラルを添加したものもあります。ネコさんに水を与えるときは「硬水でないか」といった点に加え、ミネラル含有量にも注意してあげてください。
水に含まれるミネラルの種類は、カルシウムとマグネシウム以外にナトリウム、カリウムが挙げられます。
ナトリウムもカリウムも、生命維持のために必要不可欠なミネラルですが、過剰摂取は腎臓病などの病気を引き起こす原因にもなります。ミネラルは食事からも摂取できるため、水分はミネラル含有量が低いほうが安心です。
この記事では、自宅の水道水の水質チェックが気軽にできる検査キットを紹介しています。ぜひ詳細を確認してみてください。
猫に適した水の種類と特徴
ネコさんに与える水は、硬度とpH値、ミネラル含有量に注意してあげることが大切です。
とはいえ、味や見た目ではネコさんに適した水なのか区別はつきませんよね。
ここでは、ネコさんに安心して与えられる水の種類と特徴について解説します。
一般的にはよいとされる水の種類であっても、必ずしもすべてが安全であるとは限りませんので、しっかりと注意点を押さえてくださいね。
水道水
一般的に、日本の水道水はネコさんにとって安全な「軟水」であると言われています。
東京大学 教養学部附属教養教育高度化機構・堀まゆみ教授の論文にも、日本の水道水の硬度について以下のように記されています。
日本の水道水の硬度の平均値と中央値は、それぞれ 48.9 ± 25.8 (1σ SD) と 46.0 mg/L でした。
塩素消毒が施された日本の水道水は殺菌力にも優れており、ネコさんの飲み水として安心して室内に置いておけるといったメリットもあります。
しかし地域によっては硬度60mg/L以上の高い数値も見られるため、注意が必要です。
同論文内では、以下のように記されています。
最も硬度が高かったのは千葉県で83.4mg/L、次いで埼玉県82.8、熊本県72.2、沖縄県68.1、東京都65.8mg/Lとなった
また、下の図はクリタック株式会社「全国水質マップ」に掲載されているデータです。現地にて(水道水)を採取し、クリタ分析センターで分析したものです。
参考:クリタック株式会社 全国水質マップより
この結果から特定の地域に偏らず、全国的に多少なりとも硬度にばらつきがあると考えられるでしょう。
また硬度が低い地域であっても、井戸水をくみ上げている場合は硬度が高くなる傾向にあるため、こちらも注意が必要です。
どうやら「水道水だから安全」というわけではないようです。自宅の水道水が軟水なのか、硬水なのかを調べたほうがネコさんにとって安心ですね。
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浄水
水道水に浄水器を取り付けて使用している方もいるかと思います。浄水器を使うと水に含まれた不純物を減少させたり、塩素を除去したりといった効果が得られます。
浄水はネコさんに与えても問題はありませんが、中にはミネラルを添加する浄水器(整水器)もあるため、注意が必要です。
なお、塩素を除去した浄水は殺菌力がなくなるため、こまめに水を替えて新鮮な状態を保つようにしましょう。
軟水のミネラルウォーター
人間用に市販されているミネラルウォーターも、軟水であればネコさんに与えても問題ありません。
しかし同じブランドのミネラルウォーターであっても、採水地によっては硬度が異なるため注意が必要です。
日本コカ・コーラ株式会社の水ブランド「い・ろ・は・す」の採水地を参考に、地域別の硬度を比べてみましょう。
採水地 | 硬度 | ナトリウム | カリウム | カルシウム | マグネシウム |
清田 | 31.8 | 0.69mg | 0.16mg | 0.68mg | 0.36mg |
奥羽山脈 | 27 | 1.0mg | 0.07mg | 0.4mg | 0.4mg |
砺波 | 27.7 | 0.86mg | 0.06mg | 0.83mg | 0.17mg |
白州 | 27 | 1.1mg | 0.09mg | 0.72mg | 0.23mg |
大山 | 40.3 | 1.1mg | 0.46mg | 0.71mg | 0.55mg |
阿蘇 | 71.1 | 2.7mg | 0.7mg | 1.2mg | 1.0mg |
えびの | 33 | 1.2mg | 0.23mg | 0.9mg | 0.24mg |
参考:おいしい水の秘密|い・ろ・は・す「全国7ヵ所の採水地の取り組み」より
熊本県の阿蘇にて採水した天然水の硬度は、71.1となっています。ネコさんに与える水分としては高めの硬度です。
国産のミネラルウォーターは軟水が多いですが、国産だからといって安心はできません。
また海外のミネラルウォーターの中には、より高硬度の硬水が多く見られます。ネコさんへの負担が大きくなるため、与えないように気をつけてください。
ペットボトル水やウォーターサーバーの水など、ミネラルウォーターをネコさんに与える際には、必ず水の成分を確認しましょう。
ペットウォーター
「ペットウォーター」は、その名のとおりペット用につくられたミネラルウォーターです。
ミネラルを除去した純水や、限りなく硬度が低い超軟水など、ネコさんに与える水として最も適した商品になっています。
ペットウォーターは災害時の備えとしてもおすすめです。
猫が水を飲みたがらないときの対処法
ネコさんによってはあまり水分をとりたがらない子もいるでしょう。しかし水分不足は腎臓病の原因にもなるため、あまりにも水を飲んでくれないと心配です。
ネコさんが水を飲まない場合はどんな工夫をしたらよいでしょうか。
ここでは、ネコさんが水を飲みたがらないときに試してほしい、3つの対処法をご紹介します。
器を工夫する
ネコさんが水を飲みたがらないのは、水飲み器が原因かもしれません。
個体によって水の飲み方は異なります。器のフチをなめて水を飲むネコさん、たまった水に口をつけて上品に飲むネコさん、はたまた水道から直接水を飲みたがるネコさんなど……。
器の素材や器の形など、いろいろ試してネコさんの好みを探ってみるとよいかもしれません。
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カルキ抜きをする
水道水に含まれた塩素のニオイが苦手なネコさんも一定数います。カルキ抜きをしてあげるとニオイが気にならず、飲んでくれる可能性があります。
カルキ抜きの方法は、以下のとおりです。
- 10分以上煮沸させる
- 汲み置きする
- 浄水器を利用する
なお、カルキ抜き剤の使用や、炭を使ったカルキ抜きといった方法もありますが、飲用には向きません。
中でも浄水器を利用したカルキ抜きが最も安全な方法です。
カルキを抜いた水道水は腐りやすくなっているため、水替えはこまめにおこないましょう。
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ウェットフードをあげる
水分補給は水そのものでなくても、食事からも摂取することが可能です。
ウェットフードは水分量が多いため、ネコさんの水分不足が気になる飼い主さんは、ウェットフードを試してみてはいかがでしょうか。
nekozukiでは、無添加ウェットフードの販売もしております。
猫に水分を与える際に注意したいポイント
ここで、ネコさんに水分を与える際に注意したいポイントを3つ見ていきましょう。
- 水の成分に注意
- 水の温度に注意
- 水替えの頻度に注意
おさらいも含めて、ひとつずつ解説します。
水の成分に注意
ここまで解説してきたとおり、水の成分や水質には十分注意してください。
人間用のミネラルウォーターには、ミネラル分が多く含まれた商品やpH値がアルカリ性に偏ったアルカリイオン水など、ネコさんには適さない水もあります。
また日本の水道水は、一般的に軟水にあたりますが、地域や周囲の環境によっては硬度が高い可能性があります。
水道水を与える際には、水質を調べてあげると安心です。
水の温度に注意
ネコさんに水を与えるときは、水温にも注意しましょう。軟水であっても、冷蔵庫で冷やしたミネラルウォーターはお腹をこわしてしまう恐れがあるため、避けたほうが無難です。
水道水も冬の寒い時期には温度が下がるため、できる限り常温に戻してあげると安心でしょう。
水替えの頻度に注意
水道水は塩素が入っているため細菌が繁殖しにくいと言われていますが、それでもネコさんが一度でも口をつければ細菌は増えやすくなります。
また浄水やミネラルウォーターなど、カルキが抜かれた水には殺菌力はありませんので、細菌が繁殖しやすくなっています。
上記の理由から水の種類にかかわらず、半日に1回、最低でも1日1回は新鮮な水に替えてあげるのが理想です。
愛猫が病気になったときどんな症状が出る?
中には、硬度の高い水を与えてしまっているという飼い主さんがいらっしゃるかもしれません。
ペット用ミネラルウォーターを販売する企業がおこなった「猫に与える水に関する意識調査」によると、「猫に与えるフードや飲用水に含まれるミネラル分の摂取過多が原因で病気となってしまうことを知っているか?」という質問に対し、約7割の飼い主さんが「知らなかった」と回答したとの結果が出ています。
硬度の高い水分を与えてもすぐに健康に影響するわけではありませんが、ネコさんの体を思うと心配ですよね。
ここでは、ミネラルの過剰摂取が引き起こす病気の症状の特徴について解説します。
尿路結石
尿路結石は、ネコさんに多い病気のひとつです。おしっこに含まれるミネラル分が結晶化し、腎臓や膀胱、尿道に尿石ができる病気です。尿石は尿路を塞いでしまったり、内臓を傷つけたりといった悪さをします。
尿路結石になると、以下のような症状が見られます。
- おしっこの回数が増える
- 頻回におしっこをしようとするが、量は少ない
- ピンク色や赤色のおしっこが出る(血尿)
- トイレ以外でおしっこをする
- おしっこにキラキラしたものが混ざる
- 排尿時に痛がる
このような症状が見られた場合には、迷わず動物病院を受診しましょう。
腎不全
腎臓に負担をかけ続けると徐々に腎臓の機能が低下し、慢性腎不全を引き起こします。
腎不全は老齢期のネコさんに多い病気ですが、水分不足が続いたりミネラルバランスが崩れたりすると腎不全の原因につながるため、若いネコさんも注意が必要です。
腎不全になると、以下のような症状が見られます。
- おしっこの量が増える
- おしっこの色が薄い
- おしっこのニオイが少ない
- 水をたくさん飲む
さらに病気が進行すると、嘔吐や食欲不振といった症状も見られます。
その他泌尿器系の疾患
ネコさんによく見られる泌尿器系疾患には、他にもさまざまな種類があります。
中でも膀胱炎は、尿路結石との関係性が高い病気で、尿石が原因で膀胱炎になるケースが多いです。膀胱炎と尿路結石は併発することもあります。
その他、尿道炎や尿路閉塞、尿毒症など。病気によって見られる症状も異なりますが、基本的にはトイレの様子がいつもと違うことから発見できるでしょう。
普段からおしっこの色・量・ニオイなどをチェックして、少しでも異常が見られたら重症化する前に受診してくださいね。
2つの検査キットで愛猫の健康を守ろう!
ネコさんにとって水分は非常に大切であること、そして与える水の成分にも気を遣わなければ病気につながる恐れがあることをお伝えしてきました。
適切な形で水分補給ができているか、ミネラルバランスは崩れていないかといった、定期的な健康チェックも欠かせません。
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社内インタビュー!愛猫の水分補給と病気について
「水に含まれる成分が原因で本当に病気になるの?」
ちょっとだけ半信半疑の飼い主さんもいらっしゃるかもしれません。
そこでnekozuki編集部の太野さんに、愛猫が患った病気について体験談をお話していただきました。
ネコさんに与える水分について考えるきっかけの一助になれば幸いです。
水分の選び方などが原因で病気につながった経験はありますか?
水が直接の原因かは断定できませんが、はじめて育てたネコ「なるとさん」をおしっこづまりにさせてしまった苦い経験があります。
最初にネコさんの異変に気付いたときの様子を聞かせてください。
明らかにトイレに行く頻度が変わって、1日のうちに何回も行くようになりました。でも、ずっと踏ん張っている割にはおしっこが出ていなかったんです。
異変に気付いたあと、すぐに受診されましたか?
異変には気づきましたが「こんな些細なことで受診してもいいのかな?」と思い悩み、病院に連れていくまでには少し時間がかかりました。結果、おしっこづまりであることがわかって、申し訳ないことをしたなと思っています。
お薬を飲んだら徐々に回復してくれたので、いち早く病院に連れていけばよかったなと、今でも反省しています。
ちなみに、病気になる前は「ネコさんには軟水がよい」ということを知っていましたか?
これも知りませんでした。それに、軟水がよいと知ったところで「どうやって調査したらいいの?」と思いましたし、今も周囲からそうした声を耳にすることがあります。
水質キットの商品開発をしたのもそこからです。今までは軟水・硬水なんて気にしたことはなかったのですが、地域によって水質が違うこと、ネコさんには適さない水があることを知り、それならば水質を調べたほうが安心だと思い、開発に至りました。
ネコさんに安心して水分を与えるために、飼い主さんができることはなんでしょうか。
水道水を与えるときは、自宅の水道から出る水が軟水なのか、硬水なのかを調べることが大切だと考えています。また私の場合、地域によって水質が違うことがわかってからは、軟水器に通した水を与えるようにしています。
水質がネコさんの病気につながる可能性を秘めているのであれば、少しでも原因となるものは取り除いてあげたいです。
水分補給が苦手なネコさんに無理なく水分をとってもらう方法はありますか?
普段の飲水に加え、我が家では手作りご飯をあげており、食事からも水分をとってもらえるような工夫をしています。ウェットフードを活用するとネコさんにとっても水分摂取のチャンスが増えます。
また、冬場は寒いせいで水を飲まないこともあります。場所を変えると飲んでくれることもあるので、暖かい場所、落ち着いて飲める静かな場所、高いところ・低いところなど、いろんな場所に置いてみる工夫も大切です。
他にもネコさんの好みの温度があったり、器の大きさに好みがあったり、いろんな要素が考えられるので、ぜひネコさんの好みを観察して工夫してほしいと思います。
お水を飲むことでさまざまな病気のリスクを減らせるので、ネコさんが無理なく水分をとれるような環境づくりも大切だと考えています。
まとめ:猫に与える水は「成分」に注意。安心できる水分を選ぼう
ネコさんに与える水分は「硬度60mg/L以下の軟水」かつ「pH7程度の中性の水」で、ミネラルの含有量が少ないものを選んであげることが大切です。
体内のミネラルバランスが崩れると腎臓病の原因になってしまうため、定期的な水質チェックと健康管理をおすすめします。
あまり水分を欲しないネコさんは多いですが、水分不足も病気の原因につながるため「しっかり水分をとれているか」といった点にも注目しながら過ごしてみてください。
これまで水分にまで気をつけて来なかったという飼い主さんも、きっと今からでも遅くはありません。この機会にネコさんの健康について考えていただけたらうれしく思います。