ネコさんはどんなことにストレスを感じるのかしら?
ネコさんがストレスを感じるとどうなるの?
ストレスを感じると寿命が短くなるって本当?
どうしたらストレスを解消できるのかなあ
気まぐれで自由な性質のせいか、一見するとストレスとは無縁にも思えるネコさんですが、実はとても神経質で臆病なところもあります。
私たちが思っているよりもずっとずっと繊細でストレスを感じやすいのかもしれません。
そんなネコさんのために、あなたができることは日頃の行動からストレスを感じていることを察し、その原因を取り除くことです。
今回は、ネコさんのストレスサインを知り適切な対応をするための方法をご紹介していきます。
この記事の目次
見逃さないで!猫が発する5つのストレスサイン
ネコさんはストレスを感じると行動や体調に変化が表れます。
- ごはんを食べない
- 過剰にグルーミングをする
- トイレ以外で排泄をする
- 病気や体調不良になる
- 突然走り出したり、鳴いたりする
ネコさんのストレスサインについて、ポイントを絞って分かりやすく解説していきます。
1.ごはんを食べない
ネコさんも人間同様ストレスで食欲不振になります。ときには、24時間以上もごはんを食べないこともあるのです。
ネコさんが24時間以上ごはんを食べないのは、なんらかの異常があると考えられますので、早急に動物病院を受診しましょう。
また、36時間(1日半)の絶食は、肝リピドーシスのリスクが高まります。24時間以上の絶食でも危険とする意見もあり、とくに肥満のネコさんは肝リピドーシスを発症しやすいため注意が必要です。
ネコさんの脂肪肝です。食欲不振や急激な食事制限などで、栄養を摂取できなくなったときに、肝臓に過剰な脂肪が蓄積され正常に機能しなくなる病気です。
2.過剰にグルーミングをする
ネコさんのグルーミング(毛づくろい)には、毛を清潔に保つ以外にも気持ちを落ち着かせるという効果があります。適度であれば、ネコさんの心の安定に欠かせない行動だと考えることができます。
しかし、毛が抜けてしまうほど同じところを執拗に舐めつづけていたら注意をしましょう。ネコさんが強いストレスを感じている可能性があるからです。ひどくなると手足やしっぽを噛むといった自傷行為に発展することもあるため、注意深く観察する必要があります。
ただし、同じ場所を執拗に舐めたり噛んだりするというのは、皮膚に異常がある場合にも見られる行動です。どちらにしても、獣医師に相談することをおすすめします。
3.トイレ以外で排泄する
ある日、突然ネコさんがトイレ以外で排泄をするようになって困っているという話を耳にします。もし、引っ越した、同居ネコさんが増えたなど思い当たることがあるならばストレスが原因かもしれません。
また、ストレスにより膀胱炎を発症しトイレ以外で排泄をしている可能性もあります。
排泄トラブルは、ストレスのほかにも結石をはじめとする下部尿路系疾患が隠れていることもあるので獣医師に相談しましょう。
4.病気や体調不良になる
ネコさんはストレスがかかると自律神経が乱れたり、ストレスホルモンが過剰に分泌されたりします。そうすると、体のあちこちに不調を感じるようになります。
- 特発性膀胱炎
- 食欲低下
- 嘔吐・下痢
ストレスが原因で起こる病気としては「特発性膀胱炎(とくはつせいぼうこうえん)」が有名です。膀胱などの内臓に異常がなく、感染が見つからない場合に考えられる病気です。
また、ストレスで胃腸の動きが悪くなり嘔吐や下痢といった症状を引き起こします。逆に便秘になることも。
このほかにも、ストレスが原因で免疫力が低下し感染症に罹りやすくなることもあります。
5.突然走り出したり、鳴いたりする
突然ネコさんが走り出してビックリした!という経験をお持ちの飼い主さんも多いのではないでしょうか?
実はこれもストレスが原因かもしれません。
ネコさんが何もないのに突然走り出す現象を「真空行動」といいます。運動不足のストレスを発散するための行動だとされています。
「そういえばうちの子、よく夜中に走っているな…」と思い当たる飼い主さんも多いと思います。いわゆる、「ネコの運動会」といわれているあの爆走です。あれも「真空行動」のひとつと考えられています。
そのほかにも、頻繁に鳴く、大きな声で鳴きつづけるといった場合もストレスが考えられます。
猫がストレスに感じることって?
ネコさんがストレスを感じる原因には、環境の変化や大きな音、きついにおいなどがあげられます。
ネコさんのストレス対策では、ストレスの原因を知り、それを取り除くことが重要です。
では、ネコさんがどんなことにストレスを感じているのか詳しく見ていきましょう。
引っ越しや模様替えなどの環境の変化
ネコさんは引っ越しや部屋の配置が変わるなどの環境の変化に弱い動物です。これは、縄張り意識が強いことも関係しているかもしれません。
室内で暮らすネコさんにとって家の中は縄張りです。縄張りの外は安全が確立されていないため、不安になったり、心配になったり、ネコさんによっては怖いと感じたりします。そのため、引っ越しで慣れない場所(縄張りの外)に行くことでストレスを感じてしまうのです。
また、ネコさんは毎日のように家の中を探検します。これは、縄張りに異変がないかを確認しているのです。そこで、今までなかったものを見つけたり、模様替えで家具の配置が大きく変わっていたりすると落ち着かない気持ちになりストレスを感じてしまうことがあります。
環境の変化に対して強いか弱いかは性格にもよるので、一概にみんなが強いストレスを感じるわけではありません。しかし、多少なりともストレスは感じているはずです。
トイレ、爪とぎなどの環境が好ましくない
ネコさんにとって、トイレや爪とぎなどの本能に根ざした行動は生きていくうえでも重要です。その環境が好ましくないとなれば、ストレスにならないはずがありません。
たとえば、
- トイレが汚れている
- 猫砂が好みではない
- トイレの容器が好みではない
- 爪とぎ場所が気に入らない
- 爪とぎが好みではない
トイレ環境の悪化は、ネコさんにとって大きなストレスになりますし、粗相の原因にもなります。さらに、泌尿器系の病気のリスクにもなりますので、ネコさんが常に気持ちよく使えるように整えておくことが大事です。
また、爪とぎにも気を配る必要があります。爪とぎができる場所がないというのは問題外ですし、気に入った爪とぎがない、思いっきり爪が研げないといったこともストレスの原因になり得ます。
ネコさんにとっては、トイレも爪とぎも本能や生理現象です。常に快適な環境を提供してあげられるようにしたいですね。
多頭飼いで気の合わない子がいる
そもそも、ネコさんは単独行動をする動物で、多頭飼いには向かないのです。もちろん、多頭飼いがダメだと言いたいわけではありません。
ネコさんは、自分の縄張りにほかのネコさんがいることを好みません。
新しいネコさんを迎えたら先住ネコさんが、ご飯を食べなくなった、急に鳴くようになったという話を聞きますが、多頭飼いによるストレスが原因だと考えられます。
ネコさんによっては、多頭飼いが大きなストレスになることもあります。飼い主さんの「もう一匹いたらいっしょに遊べて楽しいかな」という親心が裏目に出ることもあります。多頭飼いはくれぐれも慎重に。
大きな音がする
ネコさんはとっても耳がいいので大きな音は「勘弁してほしいにゃ」と思っているようです。
- 近所の工事現場の騒音
- 掃除機やエアコンなどの家電の機械音
- 大きな声で話す人
人間にとっては気にならないような音でも聴覚が優れているネコさんには騒音に感じることもあります。何気ない生活音がネコさんのストレスの原因になっているかもしれません。
そそっかしい人は大きな音を出さないように注意をしましょう。
香水や柔軟剤などのきついにおい
香水や柔軟剤などの香りは、人間にとっては良いものでも嗅覚の優れているネコさんには刺激臭です。
- 香水、柔軟剤などの人工的なもの
- 柑橘系の香り
- メンソール
- 香辛料
これらのにおいは、ネコさんにとってストレスになる可能性があるため、室内での使用は避けたいところです。
とくに、香水や柔軟剤などの科学的なにおいは、ネコさんにとってストレスになるだけでなく、肝臓にも悪影響を及ぼす可能性があります。
ネコさんの「香害」については、以前ご紹介した「猫から飼い主への手紙 トラジャのつぶやき」がとても分かりやすいです。ぜひ、ご覧ください。
運動不足
運動不足もストレスの原因になります。
お外のネコさんは、毎日狩をしたり、広い範囲を移動したりすることで、運動をすることができます。
しかし、室内で暮らすネコさんは、いつも決まった時間に美味しいごはんをもらえるので狩の必要がありません。また、移動範囲も室内の限られた空間のみなので、どうしても運動量が不足しがちです。
運動不足は、ネコさんの肥満の原因にもなります。ストレス軽減と健康のためにも適度な運動を心がけましょう。
猫はストレスで寿命が短くなる?
ネコさんにとってストレスは、寿命を縮める原因になることは否定できません。
特発性膀胱炎の原因になるのは有名ですし、自律神経が乱れたり、免疫力が低下したりすることで、さまざまな体調不良や持病の悪化、感染症の原因になることが考えられます。
また、猫エイズの発症にもストレスが関わっていると言われています。
猫エイズとは免疫機能が壊されてしまうウイルス性疾患です。発症すると完治はできず、数か月から数年で死に至ることもある難病です。ストレスで発症する可能性があるため、できるだけストレスを減らしてあげることが大切です。
参考サイト:新潟県動物愛護センター「「猫エイズ」発症のリスクを抑えるポイントは?(PDFファイル)」
ストレスが原因で感染症にかかったり、猫エイズを発症したりすれば寿命を縮める原因になることは十分にあり得るでしょう。
ストレスを軽減するためにできること
ネコさんのストレス対策の基本は、原因を取り除き、適切な環境を提供することです。
- 環境を変えない
- 運動量を増やす、いっしょに遊ぶ
- トイレや爪とぎの環境を整える
- 美味しいごはんとおやつ
- 安心できる場所を提供する
完璧な環境にすることは難しいかもしれませんが、少しでもネコさんが快適に過ごせるようにできることをしていきましょう。
突然、環境を変えない
ネコさんは環境の変化に弱いので、引っ越しや模様替えはできるだけ避けたいものです。
とはいえ、避けられない引っ越しもあるでしょう。そんなときは、できるだけ、ネコさんと引っ越し業者の人が会わないように配慮します。作業中は、ひと部屋をネコさん専用にする、もしくはペットホテルに預けるなどしましょう。
新居でも今まで使っていたお気に入りのおもちゃや毛布などネコさんのにおいがついているものを置くようにします。ネコさんは自分のにおいがすると安心します。
また、ネコさんの生活用品を新しいものに変える際にも配慮が必要です。いきなり変えると警戒することがあるので、少しずつ新しいものに慣らし、慣れてから古いものを破棄するようにしましょう。
上下運動ができるようにする、いっしょに遊ぶ
ネコさんの運動量を増やすコツは上下運動にあります。ぜひ、キャットタワーを設置しましょう。
高低差のある場所を上り下りするようにおもちゃを使って誘導すると効率的に運動量を増やすことができます。
キャットタワーを置くスペースがないという場合は、家具の配置を工夫し上下運動ができるようにするのがおすすめです。
また、最初は2〜3分だけでもかまいませんので、ネコさんといっしょに遊ぶ時間をつくってください。
ネコさんにとって、遊びの時間は狩の時間でもあります。室内で暮らし、ごはんをもらっていても狩の欲求が消えることはありません。ネコさんは、狩の欲求を満たせないとストレスになるだけでなく、攻撃性に繋がることがあります。
愛猫の好みのおもちゃ、動かし方を研究し獲物になりきって遊びましょう!
トイレや爪とぎの環境を整える
ネコさんがストレスにならないように、トイレは常に清潔にすることを心がけてください。
できれば、排泄後に毎回片付けるのが理想ですが、難しい場合もあると思います。その場合でも、朝夜の2回は片付けるようにしましょう。
また、最低でも月に1度はトイレを丸洗いし、猫砂をすべて取り換えるようにします。
多頭飼いの場合はトイレの数にも注意をしましょう。頭数プラス1個のトイレが基本です。
爪とぎはネコさんが思いっきり研げるように、がりがりボードのような大きさと重さがあるものがおすすめです。
美味しいごはんとおやつをあげる
ネコさんも人間と同じく、美味しい食べものを食べると「幸せだなあ」と感じてストレスを緩和する効果があるのだとか。
ネコさんの大好物のおやつをあげて、たくさん遊んで、のんびりと過ごすのがいちばんの薬ということでしょうか。
また、最近ではストレス低減にも良いといわれる特発性膀胱炎の療法食もあります。ストレスの原因がわからず、特発性膀胱炎をくり返すネコさんは獣医師に相談すると良いかもしれませんね。
多頭飼いではそれぞれが安心できる場所を用意する
ネコさんの性格にもよりますが、習性から考えると多頭飼いは、ストレスを受けやすい環境と言わざるをえません。多頭飼いのご家庭では、少しでもネコさんが快適に過ごしてもらえるように工夫をしてあげる必要があります。
まずは、ネコさんたちが安心して過ごせる場所、なにかあったら逃げ込める場所をそれぞれに用意してください。
さらに、トイレ、爪とぎ、食事の環境にも気を配りましょう。
相性が悪くてどうにもならないという場合は、お互いのストレスや安全を考慮し、完全隔離をする、里親に出すなども検討しなければいけません。
猫はとっても繊細な動物
ネコさんは、引っ越しや部屋の模様替え、トイレが気に入らない、同居のネコさんと合わない、運動が足りないといったことでストレスをためて体調を崩すことがあります。
そんなガラスのような繊細な心を持ったネコさんに、少しでも快適に過ごしてもらうためには、愛猫の性格や個性を把握し、ネコさんの習性を理解することが大切です。そして、適切な環境を提供する必要があるのです。
ぜひ、この機会に生活環境を見直し、ネコさんにとってストレスフリーな暮らしを目指しましょう!